おやすみなさい
病院に着いた時には3時を回っていた。
坂下さんと一緒に病室に戻った。
そこには先生だけじゃなくて僕の家族が集まっていた。
「「おかえり~」」
と、みんなが声を合わせて言った。
状況がいまいち飲み込めない。
「た、ただいま」
目を泳がせたまま、僕はベッドに座らされた。
「先生から電話が来てね、待ちきれないから来てしまったよ」
「親父らしいね」
「ほんとよ、明日まで楽しみにしなさいって言ったんだけどね」
「今日も明日もパーティーみたいなものだね」
目を合わせて笑いあう。
ここに結愛が居れば今の何倍も楽しいだろうけど、明日に期待をしよう。
だって今はこんなにも幸せを感じているから。
「はい、急だから簡単に洋風のおせちみたいになっちゃったけど」
「奥さん、私も準備しましたよ」
先生の言葉に間髪入れる隙もなく、パンッ!と大きな音をたてた。
坂下さんが緑色のスリッパを片手に先生の頭を勢いよくぶん殴っていた。
「坂下、痛い」
「知っています」
「何で殴った」
「奥さんに色目を使ったからと、日頃のストレスを」
「絶対それ後者の方が割合高いよね」
「さて、私には分かりません」
先生と坂下さんのやり取りが家族のやり取りを見ているみたいでおかしくて笑ってしまった。
「お似合いですね」
「浅木くん、殴ろうか」
「お姉さん、お兄ちゃんを殴るなら俺が殴る!」
「悟?先生、僕にもスリッパを」
本当にやり合う前に、先生と母さんに止められた。
なぜか親父もスリッパを探していて、母さんに怒られていた。
今日は動いたせいか、だんだん眠たくなってきた。
「浅木くん、眠くなってきたかい?」
「すいません、せっかく来てくれたのにゴメン」
先生は僕の異変に気付いて気を使ってくれた。
僕はその眠気に勝てずに眠りに落ちた。




