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一月の手紙  作者: 紗厘
最終章 ~幸せをつかむためみ~
25/28

一日の消滅

 ハンバーガーショップに着いた。


「本当にここでいいのかい?」


「僕の気分はハンバーガーなのでここでいいです」


「ならいいけど」


 と、商品待ちの時に話していると、すぐにチーズバーガーとフィッシュバーガーのセットが出てきた。


 ガラス張りのカウンター席に座る。

 僕はチーズバーガーを頬張った。

 シンプルながら美味しい。

 それがハンバーガーの良さだと思っている。


 坂下さんもフィッシュバーガーを食べて、一緒に頼んだジュースを飲む。


「今日は食べたら病院に戻るかい?」


「はい」


 ポテトを一本かじる、


「最後に家を見なくていいのかい?」


「はい」


 ポテトを一本かじる。


「ここのポテト美味しいな」


「はい」


 ポテトを一本かじる。


「私ってかわいい?」


「いいえ」


「私ってかわいい?」


「いいえ」


「私って――」


「もういいですから。可愛いかは置いておいて美人だとは思いますよ」


「言う時は言うんだね」


 どんな茶番に付き合わされているのだろうか。

 聞き流さずにちゃんと話を聞いていてよかったと安堵の息を漏らす。


「そもそも坂下さんはそんな可愛さを気にする歳じゃないでしょ」


 ――会計後、置いて行かれた。


 ハンバーガーショップの前で『ごめんなさい』とメールを送った。

 5分後、坂下さんはちゃんと来てくれた。


「女性に歳の事に触れちゃダメなんだよ?てか、私を何歳だと思っているのかな?」


「20代後半……」


「まだ23よ!」


「そんな若いのにあんな年取った人みたいな事言ってるんですか」


「また置いていくわよ――」


「……ゴメンナサイ」


 ついつい片言になるほどの圧力が車内に満ちていた。

 人生の終わりに女性の本当の怖さを知った気がした。


 運転中に、坂下さんのスマホが鳴る。


「そこのコンビニに止まるね」


 そう言って、コンビニの駐車場に止めてスマホの画面を見る。

 わざわざ外に出て電話を取った。


 僕はやることも無くずっと坂下さんを見守っていた。

 一瞬動きが止まった気がして、そのあとに僕の方を見て目が合った。

 手を振られたので手を振り返す。


 待たせているとでも思っているのだろうか。別に気にしていないけど。

 

 それから4分程して車内に戻ってきた。

 なぜか気まずそうにしていた。


「どうかしましたか?」


 無粋かもしれないが僕はついつい聞いてしまった。


「あぁ、私の家族がちょっとね」


「家族いたんですか」


「私を生んでくれた家族です。私は独身だけど何か!」


「え、あ、いや」


 こっちの方がよほど無粋だった。


「罰として、温かいミルクティー買ってきて」


「は、はい」


 これは仕方がないと思って、すぐにコンビニに入ってホットミルクティーを探した。


「無い……丁度売り切れ……?」


 確か近くに自動販売機があったはずだ。

 車で片道4分ぐらいのはずだと思い、コンビニを出たら車が無かった。


 ……また怒らせてしまった。


 仕方なく、歩いて自動販売機まで言ってホットミルクティーを買った。

 結愛(ゆあ)とのデートで体力はあると思っていたが、余命が縮まったせいか少し歩くだけで息が上がる。


 何とかコンビニに戻ったが車がいまだに無い。

 仕方なく坂下さんに連絡を入れる。

 反省したなら今から向かう。と連絡が入り静かに一人待っていた。


 車が来て乗ると同時に謝ったがなにも反応が無くて怒っているのかと思ったが、顔を見ると泣いているように見えた。でもその中で笑っているようにも見えた。


「やったよ、浅木くん。やったよ」


 20分で何があったのか気になったが、さっきの事もあり何も聞かなかた。

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