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一月の手紙  作者: 紗厘
最終章 ~幸せをつかむためみ~
22/28

ありがとう

 夢を見た。

 久々に夢を見た。

 楽しいようで残酷な夢だった。


 空中を移動したりだとか夢の中だから出来る事だよね。

 でもね、結愛(ゆあ)(さい)(とう)(みのる)って男と結婚してた。僕はそれが悲しくて悔しくて寂しかった。でもなぜか、結愛は泣いていたんだ。


 嬉しい涙じゃなくて、あれは悲しい涙だった。


 そうさせないために、今は声を出せないからメールをたくさん送る予定だ。


 たとえ届かなくても、たとえ仲直りできなくても、実と付き合わせるわけにはいかない。


 結愛と付き合いたいが為に、僕に死ねと伝えてきた実とだけは。

 これって、自己満足なのかな。別にいわれてもいい覚悟をしているつもりなのに、実施は怖くて弱い。

 親父は強いと言ってくれたけど、僕は強いんじゃない。強くなりたいと願っているだけだから、全て強がりでしかないんだ。

 それにこの強がりを学んだのは親父からだ。


 僕はとても辛かっだ。

 酷いいじめを受けた。

 いない存在のように扱われた。


 そんな嫌な事を全て消すくらい幸せだった。

 良い家族に恵まれている。

 良い彼女を作れた。

 大好きで天国でも自慢できるような彼女がいる。


 明日のいつ死ぬのか、詳しく聞いていないから分からないからここに全部書くつもりだ。


 強がるばかりの親父へ

いっつも陽気なふりをして強がってさ。そのおかげで僕はこの余命が決まっていた生活も楽しく過ごせたよ。ありがとう。


 皆を陰から見守る母さんへ

お見舞いのときたまに何かしらもってこようとするよね。おかげで来てくれるって日は、何倍も楽しみだった。静かな心の支えだったよ。ありがとう。


 自慢の弟、(さとる)

悟から聞く学校の自慢話(じまんばなし)は面白くて好きだったぞ。高校、もちろん受かったよな?受かっただろ?いい報告を待ってるぞ。楽しい話をありがとう。


 お世話になった先生へ

僕のわがままな要望をのんでくれてありがとうございます。一度僕の前で泣いたときに謝ってきましたけど、その謝罪を謝ってほしいです。別に気にしてなかったのに気にするようになっちゃたんですから。お世話になりました。ありがとうございます。


 いつも笑顔だった坂下さんへ

多分一番迷惑をかけたと思います。ごめんなさい。おかげで自由な日が続いて楽しかったです。時に笑わせてくれて、雨の日に車で運んでくれて、僕のせいで多忙だったと思います。お疲れ様です。ありがとうございました。


 大好きなどこでも自慢できる彼女の結愛へ


 

大好きだ。ありがとう。



 ここまで書いて、奇跡が起きて明日も明後日も一ヶ月も一年後も生きてないかな。

 それでこれを書いたことを恥ずかしがってて、皆で笑ってさ、


 これが全部さ、壮大なドッキリって言ってくれないのかな?

 誰か笑いながら『ドッキリ大成功』のボードを入ってこないのかな。


     ∵


 涙で書くどころではなくなった。

 現実を受け入れるしかないんだ。

 死にたくないなんて、我欲は意味のないものに変わる。

 左目じゃなくて、心を奪って欲しかったな。

 そうしたら、こんなに辛くなかったはずなのに。


 でもそうなったら、ありがとうも言えなくなるのか。


 難しいな。

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