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一月の手紙  作者: 紗厘
第2章 ~イチャイチャデート~
15/28

コーディネート

 電車を使ってショッピングモールに向かう。

 平日と言う事もあり、人は全然いなかった。


「そういえば、仕事は?」


「今日は休み貰ってるんだ。ま、明日から6連勤だけどね」


 結愛は苦笑いを浮かべた。

 相当大変なのだろう。僕にはその大変さは分からないが、ファイト。とだけ伝えた。


(のぞみ)もパートじゃなくてちゃんとした仕事を早く見つけたら?」


「これでも、探してはいるんだよ」


 いつものように、流れるように嘘を吐き続ける。

 内心もう嘘を吐きたくないし、本当のことを言った方が楽な気がした。

 でも、最後までこの幸せを感じたいから、まだ、あと少し、嘘を吐き続ける。


「じゃあ、気になる服あるからまずそこにいこ?」


「うん、分かった」


 僕たちは手を繋ぎ、ファッションセンターに入る。


「あ、あった~。――どう?」


 黒色のサロペットを肩を合わせ当てて僕に見せてくれる。


結愛(ゆあ)らしいし、とても似合っていると思うよ」


 正直な感想なのだが、服を褒めることなど慣れていないので口ごもる。

 それでも結愛はとても嬉しそうにしていた。


「ごめん、少しトイレに行ってくるよ」


「分かった、私はまだ見ておくね」


 一度別れて、トイレとは真逆の方向へ歩く。

先ほどまでいたファッションセンターに向かっていた時に横目に気になる物があったのだ。


 その場に向かい、気になっていたハンカチを手に取る。


 白い生地に、隅の方に赤色と白色のポピーの刺繍があるおしゃれなものだ。

 結愛を待たせるわけにもいかないので、手っ取り早く買って(かばん)にしまいファッションセンターに戻る。


「お待たせ、他に良いのあった?」


 後ろから声を掛ける。


「そうね、候補はあるけどこんなに買うわけにもいかないし」


 彼女の腕には5着ほどの衣類があった。


「時間もあるし、一つ一つ試着してみたら?」


「そうさせてもらうわ」


 結愛は試着室に入り、僕はその近くにある椅子に座って待つ。

 早速カーテンの開く音がして、結愛が出て来る。


 水色のブラウスに、かなり太い黒色のベルトをお腹に巻いていた。


 冬には寒すぎる格好だ。

 春夏にかけてのものだろう。


「かなりいいじゃん、そのベルトがおしゃれだね」


「でしょ!流石希(のぞみ)分かってるね~」


 親指を立てられた、同じように親指を立てた。


 楽しそうに笑いながら試着室に戻って行った。


 次は冴えた黄色のスカートだった。


「可愛いけど、ちょっと違うかな」


「そっか、じゃあこれはいいか」


 次はベージュのスカパンを基調としたファッションだ。


「うん、好き」


「うん、言うと思った」


 コントのような掛け合いの後、すぐに試着室に戻る。

 最後はシンプルに白色のワンピースに、ジーンズのジャケットを羽織っている姿だ。

 僕は結愛(ゆあ)の姿を見た瞬間に足りないと思った。


「どう?こういうコーデ初めてなんだけど」


 僕はおもむろに、周りを見渡し麦わら帽子を持ってくる。

 そして結愛にかぶせてみる。


「うん、この姿だと麦わら帽子があると完璧だね」


 ふと、我に返り勝手に付けくわえてしまって怒られないだろうか心配になった。その心配はいらなかった。


「そっか……じゃあこのコーデのセット誕プレとして買ってよ」


「誕生日って3月5日だろ。ま、前倒しで買ってあげてもいいけど」


「マジで!ありがと!てか、よく誕生日覚えていたね」


「忘れただけで殺されかけたからね、嫌でも覚えたよ」


 そうだ、一度忘れてしまった事があってその時は一週間口もきいてくれないし目を合わせてくれないし、電話もとらないし……大変だった。

 今では、その喧嘩前よりも仲良くなっている気がするから、結果オーライと言ったところだろう。

 もう、あんな経験はしたくないけど。

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