プロローグ2
手軽な保存食の作り方。
まず、大して強くもないけど栄養価は高い妖精族を捕まえます。
そして丸呑みプレイにも使用出来る、食事用触手で呑み込みます。
後は死にそうになったら回復魔法で治してあげれば問題なし。
おまけに妖精も栄養は俺の体液舐めてれば十分に摂取出来るから、こっちも問題なし。
(天才だ、俺!)
触手は顔?を輝かせ、早速妖精を捕まえにかかった。
そして五日後。
「ひぃぃぃぃ…………」
(や、やっと捕まえた……)
少女をそのまま小さくして、蝶の羽をつけたような妖精を、触手は捕まえた。
触手は、簡単に妖精を捕まえられるものと思っていたのだが、実は妖精はその道のプロが存在するほど見つからない生物である。
以前捕食した時はたまたま運が良かっただけで、今回は相応の労力をかける結果になった。
(とりあえず、元は取ろう。……いただきまーす)
そのまま触手が妖精を丸呑みしようとした時、
「ちょぉっと待ったぁああああああああああ!」
(――え?)
青い髪の妖精が待ったをかけた。
「じょ、女王さま!」
(女王!? え? そんなの居たの!?)
触手は知らなかったが、通常、妖精には特異な性質を持った、女王と呼ばれる統率固体が存在する。
彼女は非常に強力であり、人間の軍隊や竜ですら滅ぼせる、文字通り、小さな災厄なのであった。
「女王さま、助けに来てくれたんですね!?」
妖精に襲い掛かる触手。
絵面的には、完全にアウトである。
そして目の前には随分な魔力を感じさせる、女王と呼ばれた妖精。
(あ……これ、割とヤバいんじゃ……?)
彼の予感は的中している。
「そこの触手……、あんた、わたし達に手を出すなんて、いい度胸してるじゃない……?」
(怒ってる! めちゃくちゃ怒ってる!)
「触手の一本、粘液の一滴さえ残さずに、消滅させてあげるわ……!」
(うっわ、やる気だ! この幼女やる気だ! 何この魔力!)
「覚悟しなさい!」
多重で魔方陣が展開された。
幾つもの閃光が、触手を撃ち抜き、生命を停止させんと襲い掛かる!
(うがぁあああ! 痛ぁあああああ!)
撃ち抜かれた端から再生させていく。
必死である。
幾らもとよりあった高い再生力と、覚えてからこっそり連発し続け、上達した回復魔法|(疲労にもよく効くのだ)があるとはいえ、この砲撃を延々と貰うのは、冗談抜きで殺されかねないのだ。
触手的にはまだ死にたくない。
(ええい、どうするどうするどうする!?)
必死に考える。考えまくる。
だってダラダラしたいのだ。
のんびりまったりしたいのだ。
「死ね死ね死ねーっ!」
もはや魔法の弾幕である。
女王は容赦なく殺しにかかっている。
(どうすればどうすればどうすればどうすればどうすれば……っ!?)
……そして、触手は思いつく。
(…………よし、目標を変えよう)
触手は、さっきの妖精を諦めた。
そうしないと殺される気がしたのだ。
(一か八か……)
今までに見せない敏捷さで、触手が動いた。
「なっ、なぁあああっ!?」
ごきゅん。
触手はさっきの妖精は諦めた。
だが、「妖精を栄養源に作戦」は、全然諦めていなかったのだ。
『ま、丸呑みなんて特殊な性癖はないわよぉっ!』
触手の中からくぐもった声が響く。
――触手は、妖精の女王を丸呑みにした。
触手の中では消化液まみれで、到底集中する必要のある魔法なんて、行使できないのだ。
「あ、ああっ! 女王さまぁ〜っ!」
妖精が悲惨な顔をする。
そして触手を見て、「ひっ」と怯えた顔をする。
(……いや、食べようとしたから、しょうがないか。目の前で一人呑み込んだし――)
ドゴォッ!
……腹の奥から、殴打音が響く。
(……魔法は使えなくても、大暴れは出来るか)
『だぁせぇええええっ!』
女王はめげずに触手から出たいようだ。
『出しなさいよぉ……!』
ぼかっ、どむっ、ごっ!
(……痛い痛い痛い)
殴打を止めて欲しいが、女王は止めるつもりはないようだ。
しかたなしに、あまり使う気がなかった手段を行使した。
『え? ええ? な、何よこのキモい粘液……あ、え? 何……? 体が、熱い……?』
使いたくなかった手段……エロ触手の必須アイテム。媚薬粘液である。
全ての触覚関係の感覚を、全てとんでもない快楽に変えてしまう、恐ろしいシロモノである。
『……ひ、嘘……! いや、なんで……? 溶かされるの、気持ち良い……?』
正直、触手としての生き方を放棄して以来、その能力を使う気は、触手にはあまりなかったのだ。
『ひやっ、ふあぁぁあああっ!? くぅぅんっ! うそ、だめ、こんな、こんな……ひぅううっ!』
(まあ、これで大人しくなるでしょう)
とりあえず、一件落着ということにしておいた。
――そして、軽く四百年が経った。