第拾伍話 『学校崩壊の危機?〜後編〜』
「あ〜。疲れた。」
俺はため息をついた後、教科書などをカバンの中にしまう。
カバンを持って教室から出ようとした。
ん、何故かと言うと桜花に見つからないようにこっそりと、だ。
桜花のスキを見計らう。
「…今だっ!」
教室を出て、靴を履き替えた瞬間、俺は走り出した。うおおおお!!・・・。
「黒〜。一緒に帰ろう?」
ズテンッ
後ろから突然俺を呼ぶ桜花の声が聞こえた為、転んでしまった。
女子と二人きりで帰っているところでも見られたら、誤解されそうで困る。どうやら間に合わなかったようだ。
「・・・もしかして、私と一緒に帰るのイヤ?」
桜花はしょんぼりした顔をする。これは一緒に帰るフラグ。桜花でも女らしい顔するんだな。
「いや、嫌というわけではないけど、男女二人で帰ってるところ見られても恥ずかしくないのか?」
「え?別に見られてもどうというわけでもないじゃない。一緒に帰っている、ただそれだけのことよ。」
本当にこいつには恥というものがあるのかないのか…。特に俺のことはどうも思ってないらしい。
「七刹くーん!」
その時後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。美香だ。
「一緒に帰ろう…って天崎さんもいたんだ。」
「ええ、私も一緒に帰ろうと思っていたところなの。貴方も付き合ってくれるのかしら?」
ナイス美香。これなら恥をかく心配も無い。
「えー。私は七刹君と帰りたかったんだけどなぁ。」
ズテッ、俺は首を落とす。美香と桜花、これは修羅場だな…。というか、俺ってこんなにモテてたのか…。
「あらあら、私も嫌われたものね。それじゃあ…。」
桜花は腕をパキポキ鳴らす…ってまてーい!!!騒動起こすな!
その時。
「黒君〜。」
また俺を呼ぶ声かよ、今度は蓮華先輩だ。
「む、貴方が転校生かな?」
蓮華先輩は桜花の顔をじっと見つめる。桜花の方は不思議そうな顔で先輩を見ている。
「あら・・・貴方も妖怪なのね。」
桜花はどういうことか一発で妖怪だと見破った。
「ふふ、その通り。私は十六夜 蓮華。よろしくお願いします。」
と、先輩は頭を下げた後、握手しようと手を前に出す。
桜花も手を差し出したが、握手した時桜花は顔をしかめた。
「・・・? 冷たい手…。」
「あっそうだった。黒君。久しぶりに一緒に帰らない?」
結局このオチか。
「もう、みんなしていきなり何なんだよ。俺は一人で帰るぞ〜。」
『ちょ、そんなー。』
皆、息を揃えて文句を言った。俺は無視して丁度通りかかった月に体当たりして自転車をぶんどった。(その時のセリフは「うほっ!」)
「一緒に帰りたいんだったら、追いついて来いー!」
『あっ、待てー!』
今日は学校に突然桜花が転入してきた。いきなりとけ込んだみたいだが、周りは大騒ぎ。生徒会も黙っちゃいられない(香奈含む)
それは毎日続くだろうが…何か不思議な感じがするんだよな。一番引っかかるのは桜花の依頼人だ。何故桜花に永遠奏界のバランスを保つ仕事を任せたのだろうか…。一体何者だ?
後気が付かなかったが、よくよく思えばユエと戦ったときの傷。一日で復活していた。それと、ユエによる大量出血事件だが、誰もそのこと一つも口にしないんだよな。まるで急に忘れ去られたような、神による祝福のような。
・・・桜花は本当にタダの妖怪なのか…?
・・・あ、結局追いついたのは桜花な。