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夏18日 ミズキ 我にチートを!

この世界に来て一カ月ちょい。

最近前の世界のことを思い出して落ち込むこともあったんだけど、バック転したらなんだかちょっと吹っ切れた気がする。

悩んでて食欲なかったのに悩みが解決した途端おなかが空くってことがあるように、吹っ切れたら突然、先立つものが心配になってきた私です。

お金に不安を覚えるなんて、そんなものは王子じゃない!

リーンが家賃をタダにしてくれてるし、食費は払ってるけど外食するより全然安いお金でご飯を食べさせてもらってるから、国の使者からもらった生活費はまだそれなりに余裕がある。

とはいえ、そろそろ収入を得ていきたいわけです!

小説家は、とりあえず諦めた。

文法……? 無理無理。

たとえ文法を覚えたところで、私が書いた小説なんて、英語の教科書レベルの英語で書いた小説みたいなものさ。

つまり、情緒もへったくれもない。

「月が綺麗ですね」を表現しようとして「I love you.」としか書けないこの辛さ。

もしくは「That moon is beautiful.」。うん、違う。絶対違う。

そんな悲しい作品を生み出さないためにも、私は筆を折る!(持ってさえいないけど)




「まあ、可愛いわ!」

今日はローザさんが服を試着に来てくれている。

お直しが必要なさそうなら、そのままお渡しかなー。

私から作ると言ったのでタダでお渡しするつもりだったけど、仕立屋を目指していると話したところ

「商品第一号としてぜひ買わせてちょうだい」

とローザさんが言ってくれたので、お言葉に甘えることにした。


前にボタンがあるタイプのブラウスは、ゆったり目に作っていてもちょっとしたタイミングで左右に引っ張られて、合わせ目に破廉恥な歪みが出てしまうかもしれないので、背中ボタンのブラウスをご用意。

コルセットタイプのハイウエストスカートにすればウエストは細く見えるから、胸が大きくても太って見えない。胸はある程度強調されるけど、太って見えるよりはいいはずだ。

襟に細い紐のリボンかタイをつければ、縦のラインが強調されて胸元もある程度すっきり見える。

ちょっと制服っぽいけど、制服イコール正装だしどちらかと言えば清楚なイメージで作れたと思う。


仕立屋を目指しているくせに服の相場を知らなかったのでローザさんに材料費を言ったところ、

「技術料も合わせてこれくらいかしらね」

と、結構なお金をいただいてしまった。


「色ついてない?」

「ついてもいいじゃない。オーダーメイドだもの。気に入れば色もつくわよ」


そういうものなのか。


「今度何かオマケ作っておきますね」

「楽しみにしてるわ」



ローザさんがもう一着オーダーしてくれて、二人で「このデザインはどうか」「この色はどうか」など話していると、リーンが帰ってきた。

「ローザさんいらっしゃいませ」

リーンはローザさんに挨拶すると、仕事鞄から一通の手紙を取り出した。


「これ、隣町の人がミズキちゃんに渡してほしいって」

「おっと、ついに王子、隣町にもファンができちゃったかー」


まあね、この輝く王子の光は千里の道もなんのその、100Mbpsで世界に広がっていくからね。


「ん……お洋服の依頼っぽかったよ?」


mjd。

ローザさんに断わって手紙を開くと、「郵便屋さんの服が可愛いので、店の制服を作って欲しい」という旨が書かれていた。

リーンは中が見えない仕様に変更した黒いワンピース以外にも、宣伝を兼ねて私が作った服を着て配達の仕事をしてくれていた。

魔女っ娘服じゃなくて普通の服なんだけど、どうやらそれがある飲食店のオーナーの目にとまったらしい。


「あのお店の制服なんてすごいじゃない!」


隣町在住のローザさんは知っているお店らしく、興奮気味に私の手を握ってきた。

制服かー。制服になれば宣伝効果もかなりあるし、これはついに、異世界チートで私の時代きちゃったかも!?

服の売れ行きもいまいちだし別の仕事探そうかなあと思っていたけど、これはやっぱり仕立て屋でやっていけるんじゃないかね!?

ブランド名なんにしようかなー。「モード・ミズキ」とか? ちょっと普通すぎるか。もっときらびやかなのがいいよね!


「ん……でも、制服ってことはすごくたくさん作らないといけないよね?」

「おぅふ」


そうだ、私一人じゃデザインにもよるけど一日一着程度がいいところだ。

もうちょっと腕が上がれば、もっと早く作れるのかなー。

とにかく、もし一週間後までに二十着とか言われても、私には対応できない。

チート能力でもあれば、念じるだけで服が出来たりするんだろうけどなあ。

とりあえず、会って詳細を話したい旨を書いた手紙を、明日リーンに届けてもらうことにした。



翌朝、目が覚めて作業場に行くと、置いておいた服地が勝手に服になっていた。

これはまさか、「小人の靴屋」的な小人の仕事!?

さすが異世界! ファンタジー!


という夢を見た。

異世界に来てまで夢落ちとかむなしい。

我にチートを!


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