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夏11日 アッシュ 兄弟姉妹

またクーと喧嘩した。

掲示板のとこだとまた村長がくるかもしれないから、今日は川に来た。

ボクは一人になりたいんだ。

と思ってたのに、ミズキが来た。

ミズキかあ……テンション高くて結構うざいんだよね。


「おや、また喧嘩かい?」

放っておいて欲しいのに、こういうこと聞いてくるし。

「私もよく妹と喧嘩したなあ。……あーちゃん、元気かなあ……」

ミズキはそう言うと、ボクから二メートルくらい離れて座って、そのまま喋らなくなった。

あれ? もっと根掘り葉掘りデリカシーなく聞いてくるかと思ったのに。

「あーちゃんって妹?」

思わずボクの方が聞いちゃうし。

「うむ」

「どんなやつ? やっぱめんどくさい?」

クーリエみたいに。

「うーむ……あーちゃんはなあ、しっかり者だな。

 性格的にはルリちゃんに似てるんだけどな、

 でもなんとなく、リーンの方が似てる気がするな」

ふーん。

「それ、単に一緒に住んでるからそう思うだけじゃないの?」

姉妹は一緒に住むものだし。

「ああ、そうかもしれないな」

そう言うと、ミズキはまた黙ってしまった。

なんだよ、調子狂うな。

「……何かあったの?」

間が持たなくて、このままじゃボクの方が根掘り葉掘り聞くことになっちゃうじゃん。


「いや、特になにも。ただ、町に行ったらホセの兄弟みたいなやつに会ってさ」

「ホセって兄弟いたんだ?」

ボクが物心ついたときにはすでに、一人で雑貨屋やってた気がするけど。

「いや、兄弟じゃないらしい。でも、赤髪で厨二病だったから兄弟みたいだなーって」

「チュウニビョウって何だよ?」

「あー……説明が難しいけど、大人になっても

 馬に悠久たる深淵エターナルダークフォースとか名付けちゃう病気かな」

病気? ホセ病気なのか? 病院いけよ。

ああでも、あの病院に行くのはちょっとな……。

ていうかそれよりも。

「エターナルダークフォース、格好いいじゃん」

馬にハナコとかサクラとか何とか二号とかダサい名前付けてるやつもいるけどさ、ボクはそれよりエターナルダークフォースの方が格好良いと思う。

ボクの言葉にミズキは

「ああ、そういえばきみはまだ小学生だったな」

と笑って、何かに気づいたように「そうだ」と言った。


「アシュレイくんも以前、騎士道カードを集めてたんだよね?」

「……うん、もうだいぶ前にやめたけどね」

騎士とか、子ともっぽいし。ボクは学者になるつもりだし。

「今日私、騎士に会ったぞ!」

「え! マジで!? 誰?」

「アルフレッド・ヘルファイア」

「マジ!? すげー!!」

ボクがカード集めてた時、アルのカード出なかったんだよなあ。欲しかったのに。

SRだからなかなか出ないのは仕方ないんだけどさ!

町のカードショップで買うのはなんか嫌だったし。やっぱ自力で出してこそだと思うし。

まあ、アルのカード、高すぎてどうせ買えないけどさ。

「眼帯してた!?」

「してたしてた」

すげー!

あの眼帯が格好いいんだよなあ。

「髪の毛赤かった!?」

「赤かった赤かった」

マジか! あの髪がまさしく地獄の業火ヘルファイアって感じなんだよなあ。

アルが子どもの頃、炎の悪魔が現れて家族みんな死んじゃったんだけど、アルはその炎を支配して生き残ったんだって!

アルの髪にその時の炎は封じられてて、アルは家族を奪ったその炎を憎みつつ、これ以上不幸な人を増やさないように、悪魔や魔物と戦ってるんだ!

アルは一見冷たくて強暴そうに見えるけど、実は家族や仲間を大切にする騎士なんだ。


「それでさ! 黒い服…………あ、いや……、ボク別に騎士とかそんなに興味ないし。

 でも、アルは別って言うか、他の騎士と違うって言うか……」

気付けば、ミズキがちょっとニヤニヤしながらボクを見ていた。

ボク別に騎士に興味があるわけじゃねーし。

「ボクもう帰る」

もう話すこととかないし。ちょっと暗くなってきたし。

家族や仲間は大切にしないと格好悪いし。

大切にするっていうのは、余計な心配かけないことだし。


「そうか。またな」

ミズキは軽く手を振ると、またぼんやり川を見つめ始めた。

なんか変。

「ミズキももう帰れば? リーンが心配するだろ」

リーンはミズキの家族だろうし。だから心配かけたらいけないし。

「……そうか。うむ、帰るか! 心配かけたらいけないしな!」


ボクはミズキと並んで帰るのはなんか嫌なので、ミズキの十メートル後ろを歩いて帰った。

別れ際、

「そういえば、ヘルファイアのカード、ホセが持ってるかもしれないぞ」

とミズキが言ったので、ボクは雑貨屋に寄った。

「どこやったかなー?」と店中探し回るホセを待っていたら家に帰りついたのは十九時を過ぎていて、ボクは母さんに拳骨をくらった。

母さんめ……、家族は大切にしないと……ダメなんだぞ……。


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