表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/100

夏9日 ミズキ 魔物と魔法

ふふーり。

水着が完成しましたぞ!

腹だし魔女っ娘服はお蔵入りしちゃったけど、おなかが出ても水着なら問題ないよね!

明日はリーンも仕事が休みの日だし、ルリちゃんやマリーさんも誘って泳ぎにいっちゃおうかな!



「ん……明日は無理かも」

リーンに断わられました。

うーん……一度は良いって言ってくれたのになあ。


「えっと、森で魔物が出たらしいの。

 シュシュさんたちが討伐しようとしてるけど、なかなか見つけられないでいるみたい。

 だから、今は森は立ち入り禁止なの。入れるようになったら行こうね」

なんだ、そういう理由か。

しかし魔物!

まもの!

「まもの」と聞くと、「へっくしょん!」したくなるな!


「魔物ってどんな見た目なの?」

この世界に来て一カ月。

王子、まだ魔物を見たことがありません。

魔物をバッサバッサ切り捨てて俺TUEEEEEは、エレガントな王子っぽくないから希望しないけど、でも一度見るくらいはしてみたいなあ。

「見た目は……いろいろ、かな。

 色々なものに魔力がたまると、魔物になったり魔石になったりするの」

「ほ、ほう……」

「魔法使いは魔物の一種って考える人もいるよ。

 でも狭義の意味では、魔力を持って人間に危害を加える人型じゃない存在が魔物かな」

「人間に危害って……食べられるってこと?」

野生の熊って、人間を食べるんだっけ? 攻撃するだけで食べないんだっけ?

狼は……? 家畜は襲うけど人も襲うんだっけ?

「食べたり、魔力や生命力を吸い取ったり、体を苗床に使ったり。

 少ないけど、他の生き物を殺すこと自体が目的の魔物もいるかな」

「……危ないんだね」

苗床が一番嫌かも。

「うん。だからミズキちゃんは一人で村を出たりしたらダメだよ」

「森も?」

森はたしか、村長も一人で日光浴に行ったりしてたような。

秋になるとエメリアさんが食用のキノコを採りに行ってカゴいっぱいに毒キノコを採ってくるんだけど、それが薬用として良い収入になるって、ルリちゃんも言ってたし。

「森は、今はダメだけど、普段は奥森って呼ばれてるところまで行かなければ

 一人でいっても大丈夫だよ。あ、迷子は気をつけてね。

 村に近い場所は自警団が管理してるの。

 今回は奥森から魔物が出てきた形跡があるんだって」

ふーむ。

今の話を聞いた限りだと、奥森に行かなくても、誰も気づかないうちに森に魔物がうろついている可能性もゼロじゃないんじゃないか?

そう考えると、私も自分の身くらいは守れるようになりたいような。

剣なんて、殺陣の演技でくらいしか持ったことないけど(しかもレプリカ)。

それより魔法。

異世界なんだし魔法使いたい!


「私にも魔法って使えるのかな?」

いっそリーンの弟子にしてもらうか!

「ん……使えると、思うよ?」

そう言うリーンは、なんだか歯切れが悪い。

私……いや、私の後ろを見ている?

後ろを振り返るけど、何もない。

「本当に使える?」

気を遣って適当言ってない?

情けは無用ですぞ! 師匠!

「……魔力はあるみたいだから、勉強すれば使えるようになると思うよ」

「ほんと!?」



喜び勇んだ私に、リーンが教科書を貸してくれた。

「もっと初歩の初歩から学べる教科書が良いのかもしれないけど、

 持ってないから、今度町で買ってくるね」

分厚い教科書を開いて、一ページ眺めてみる。

「いや、もうわかったからいいよ」

その瞬間、私は魔法について理解した。

「え、すごい。もうわかったの?」

まあこれくらいのこと、そう驚くことじゃないさ。

「ああ、わかったさ」

王子の力を舐めてもらっちゃ困る。


「私に魔法は、無理」


魔法は理系が扱う代物だということを、英語は出来ない文系王子は即座に理解し、

いかにも理系な教科書を、私はそっと閉じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ