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夏8日 ミズキ どじっこ

リーンがおかしい。

今朝は外に出る前から箒に乗って飛び上がり、天井にぶつかっていた。

は! まさかリーンのやつ、どじっ子属性も習得する気か!?

あざとい。さすがリーン、あざとい。

まあどじっ子ではないにしても、もともと天然気味ではあったけれどな。


そして今、私は本物のどじっ子とお茶を飲んでいる。

看護師のエメリアさんである。

この人すごいよ。

ドジの域を軽々と飛び越えていく、奇想天外のオンパレードだよ。

二階へ私を案内しようとして、なぜか後ろ歩きで案内をはじめ、案の定階段(しかも一段目)で転ぶ。

転んだことより、後ろ向きのまま階段を登れるという自信を持っていたことに驚愕した。

それから、茶葉の入った缶の蓋を開けようとして、中身をすべてぶちまける。

だが、茶缶と間違えて海苔が入った缶を開けたのでまだしも助かった!

茶菓子を作るために卵を割ろうとして、流しの横に置かれたボールをなぜか無視して、流しの排水口に卵を割る入れる。

角砂糖を出すつもりで塩を出してくる。

あげく、「あらぁ? なんだか四角くなくなってるわぁ」などと言い出す。

四角くない時点で別物だ!


いや、私がお茶を入れればいいんじゃないかとは思ったんだよ?

だけど「お客様はお行儀良く待ってないとダメよぉ」って、釘をさされてしまったんだ。

さすがの私も、母の年齢に近い人相手に、

「きみがケガをするかもしれないと思うと、胸がはりさけそうだ!

 さあ、その白魚のような手を休めて、こちらに座っておくれ。

 そして私がきみのために淹れた琥珀の液体に、その愛らしい唇をひたしておくれ」

とは言い難い。

言い難い。

うーん……長く部活から離れているせいか、台詞回しがチープになってきた気がする。

最近芝居的なものといったら、昼ドラくらいしか見てないからなあ。

この生活を続けると……

「貴女ってわざとらしく怪我して彼を心配させてウザいのよ!

 白魚のような手って彼に言われたんですって?

 はっふざけないで、笑わせるわ!

 白骨のような手の間違いなんじゃないの?

 貴女、虫が入った琥珀みたいな目をして、いつも唇を歪めて笑ってて、

 何を考えてるかわからなくて気味が悪いのよ!」

とかいう台詞しか思い浮かばなくなるかもしれない。

由々しき事態だ。


エメリアさんがエプロンの紐に絡まったところで、ルリちゃんが帰ってきて事なきを得た。

今日はルリちゃんにお勧めの小説を貸してもらいに来たのだ!

お返しに、私の世界にある物語を聞いてみたいらしい。


「ミズキさん、約束明日だけど?」

あ……あれ?

「やだわあ、ミズキさんったらうっかりさん」


…………私もどじっこの仲間だったようだ。


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