春29日 ディオ ラスシャ村怪事件対策会議
「事件です」
机の上に両肘をついて、組んだ手に顎を乗せたシュシュが、重々しく宣言した。
アンシーがカツカツと、黒板に「事件発生」と書いていく。
「事件発生」の上には「ラスシャ村怪事件対策会議」と書かれている。
昨日今日の怪事件って言うと、あれかな?
ラスシャ村青年団の女性人気ナンバーワンとナンバーツーが恋中だったが最近倦怠期で、そこに雑貨屋が付け込んで略奪愛がどうのこうのっていう。
「『二人はヨリを戻せるのか!?』ってやつだよね」
昨日のホセのところでヴァニラと話していた話が噂の元になってる気がして、すごい心苦しいんだけど。
「はあ? そんな誰と誰が乳繰り合ってるみたいな話、どうでもいいわよ!」
あ、違うんだ?
「下世話だね」
はい、アンシーさんすみませ……って、オレだって別に興味があるわけじゃないよ!?
「筋肉を鍛えれば、そのようなことに心惑わされなくなるぞ」
バトレイのいつも通りさ。ほっとするな。
「昨日、我が捜査本部にタレこみがあったのよ」
シュシュは刑事ドラマでも見たんだろーか。
なんか「捜査本部」とか「タレこみ」とかいう言葉、使いたかっただけなんじゃないの?
「目撃者Jによると、二六日の夕方、頭に草の生えた奇妙な男が、
少年Aの頭に手を置いて、何かを吸い取っていたらしいの」
ジャンが、二六日に村長を見たっと。
少年Aは……アッシュかな。
「事件よね」
シュシュが瞳をキラリと輝かせる。嬉しそうだ。
「よくわからないけど、何を吸い取っていたかにもよるかな」
単純に、村長がアッシュの頭を撫でてただけなんじゃないの?
「そう、そこが問題なのよ!」
どこ?
「最初はアタシも、村長が吸い取ったのは毛髪力だと思ってたの」
奇妙な男の正体があっさり暴露された。
発毛力じゃなくて毛髪力か。どんな力なんだ。
「でもね、今朝集めた情報によると、アッシュが寝込んでるらしいのよ!」
「……寝込む、だと? まさか犯人が奪ったのは筋に……」
「違うわ」
シュシュは誰にも(彼氏にも)遠慮しないな。
「奴が奪ったのは生命力だったのよ!
そしてさらに問題なのは、被害者がアッシュだけではないということなの。
今日調べた情報では、ロバートとミズキも村長の毒牙にかかったものと思われるわ」
ロバートたちも寝込んでるのか?
風邪流行ってんのかな。オレも気をつけよう。
こうして対策会議は進み、
「じゃあ手洗いうがいの徹底。
あとこれから急激に暑くなるから熱中症に注意するように、周囲に呼びかけるということで」
という結論が出て、会議は終わった。
これ、何の対策会議だったっけ?




