春28日 ロバート 紳士の気遣い
昨日から、どうも調子が悪い。
昨日の時点では「前日の熟女の日の疲れがたまってるのかな」くらいに考えていたんだけどな。
なんていうか、全体的にだるい感じがする。
ヴァニラがホセのところから帰ってきたら、ちょっとホセのところ行って、栄養剤買ってくるか。
お、外でピコピコ足音がする。
ヴァニラが戻ってきたな。
「お兄ちゃんが恋のライバルじゃなくて良かったー」
…………。
ヴァニラはかなりわかりやすい思考回路を持っていると思っていたけど、時々地底人を相手にしている気分にさせられるな。
いや、おれが今体調が悪いから理解できないだけかな……?
おれがヴァニラの恋のライバルってことは、
「おれがヒューのことを好き」もしくは「ヒューがおれのことを好き」って話になる。
やば……吐き気までしてきた。
早くホセのところに……。
いや待て、ヴァニラはホセのところで喋ったあと、今の発言したわけだ。
ということは、ホセのところでその手の会話が繰り広げられたって話で……。
「ただいまー! さあバリバリ働くぞー!」
いいや、ホセのところに行くのはやめておこう。
今日は紳士の日だ。
酒の飲み方を心得ている人たちが集まるから、熟女の日とは比べるべくもなく、若人の日と比べても楽な日だ。
それにしても今日は、客が少ないな。
楽でいいけど。
今日は宿泊客もいないし暇なので、ヴァニラに休んでいいと伝えたところ、いそいそとルリちゃんの家に泊まりに行った。
それにしても、テーブル席に座った村長御一行が、時々探る様な目でこっちを見てくるのが気になる。
注文か? 違うっぽいよな。
しばらくして、村長にちょいちょいと手招きされた。
テーブルまで行くと「だいじょうぶか?」と聞かれる。
「まあなんとか。顔に出てます?」
たしかに体調は悪いけど、傍から見てわかるほどなのか。
「いや、顔にはでとらん。というか、本当なのか?」
ん? 何がだ?
「いや、知らんのか? ぬしと鍛冶屋の孫と雑貨屋が三角関係で大変だと、今村中の噂じゃぞ」
…………やば、吐き気してきた。
「それ、どっから出た話?」
敬語を使う気力もない。
「正確なところは知らんが、ジャンが靴を返品しに雑貨屋に行った時に聞いたらしいぞ」
「いや、内緒話っぽいのが聞こえてきたって話だったぞ」
村長の説明に、他の爺さんが補足する。
ジャンに腹を立てればいいのか、ホセたちを怒ればいいのか……。
「今日、客少ないじゃろ。
どうも、『自分に恋をされたら困る』とか考えたやつもいるみたいでな。
馬鹿馬鹿しい! 老害が若者に相手にされるもんか!」
いや、そもそもおれは男にそういう興味はないんだけど。
完全に誤解であること村長たちに告げると、
「わしはホセの方が良いと思うぞ」
「俺は焦ヒゲを見る限りヒューが良いと思うぞ」
と、明らかにおれの弁解は無視した発言を残して、帰っていった。
気持ち悪……寝よう。




