食べ物の恨みは怖いんだぞ。【前編】
あけましておめでとうございます!突発的な更新で申し訳ございません。何分、リアルの方が現在多忙でして毎日更新なんて夢のまた夢となっております。
ですかプレビューやブックマークを付けて貰っているその喜びの為に更新は頻繁には無理ですが止めずに続けていきます!これからも応援よろしくお願いします。
「───こちらは参加証明書となりますのでなくさないでくださいね。 なくしちゃうと参加は出来ませんから。」
参加費用の銀貨を三枚受付嬢に渡すと、それと引き換えに32と書かれた木札を受け取る。
「結構な参加人数だが、どんな感じのルールでやるんだ?二日や三日では終わらないだろ。」
受付の数は5つあるが、全ての受付に様々な人種の男女が並んでいる。
「それは当日まで秘密なのです。何処でどんな試合形式で行われるかも秘密、当日にこの受付前の広場に集まってくださいね。」
人差し指を唇に当ててにこっと愛らしい笑みを浮かべる受付嬢に毒気を抜かれてそうかとだけ言って離れる。
「どうすっかねぇ。おっちゃんにコレを貰ったのは言いが、試合は明後日。泊まる宿もそれまでの飯代もない。」
頭の後ろを掻きながら大通りを歩いていると、人混みの中からボロ切れのような服を着た少女が眼前を走り抜けていく。
「危ねぇな。おっちゃんに貰った焼き鳥落としかけたじゃねぇか。」
まだ焼き串が数本入っている袋を開けて中から取り出そうとするランゼブ。
「邪魔だ!どきやがれ! 」
少女を追うように出てきた怖い顔の男が2人。いい匂いをさせる焼き串を取り出したランゼブに体当たりのようにぶつかって走り去っていく。
「あ……」
足下にぶちまけられたタレの付いた焼き串。一人目の体当たりで手に持った焼き串を落とし、二人目の体当たりで袋を落とした。それに加えて運がなかったと言うべきか、袋の口から飛び出してしまっている。
「許さねぇ。神様や仏様が許そうが俺は絶対許さねぇ。」
逆恨みだと言われようが関係ない。飢えていた自分に情をかけてくれたおっちゃん、そして最たるものはただ一つ。
「食べ物の恨みは怖いぞォ……」
落ちた焼き串を袋に拾い集めて男達を追うように路地裏へと走る。