その男はランゼブ
それはとある酒場のテーブルだった。
一つの丸テーブルを四人の男が緊張した面持ちで囲んでいる。
「す、スリーカードだ。」
「チッ、ツーペア。」
5枚中3枚が揃ったカードと、2枚揃ったカードが机上に投げられて並ぶ中。
頬に傷のあるスキンヘッドの強面の男が悪い笑みを浮かべながらカードを見せる。そこには剣が四本、槍が四本、盾が四つ、弓が四つそれぞれ描かれたカードと剣が二本の数違いのカード。
「フォーカード、俺様の勝ちで決定だな。」
腕を組んで高笑いするその男の前に二人は溜息を吐いて負けを悟る。その中でフッと鼻で笑う一人の男テーブルの上に投げられたカードの絵柄は剣、槍、盾、弓が1つずつ描かれたカード。
「オレの勝ちだな。」
最後のもう一枚は十字架に蛇が巻き付いた言わば、ジョーカーと言われるカード。
「ウォォォォォォォォオ!これで二十連勝だぞ!」
「クソ!誰かアイツに負けを味合わせてくれ!」
一気に沸き立つ酒場の男達。テーブルの中心に積まれた銀色の硬貨の山を総取りしたのはニシシシシッと笑みを浮かべる無精ひげを生やした男。
「今日はオレの驕りだ!飲めや歌え!野郎共ォォォオ!」
「きたぁぁぁぁぁぁあ!ランゼブの驕りだ!マスター!じゃんじゃん酒を持って来い!」
「クソォォォ!元々は俺の金なんだ!全部俺に持って来い!」
「負けたからってそうしょげるなよ。あ、ねーちゃん。この肉お代わり頼む。」
テーブルの上に立ってそう言うと更に沸き立つ男達に次々と減っていく酒瓶やつまみを大忙しと出しては作りを繰り返す店主とウェイトレス。
その店は日が昇るまで笑い声が絶えず響き渡っていた。