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25話 特訓
「ただいまー!」
夜になりロナとヴェンスが一緒に帰ってきた。 夕飯はラナが用意したものを食べて、ラナは早々に自室に引っ込んだ。
「クリムー、戻ったぞー」
「うむ、じゃあ竜の姿になっておけ」
ラナは少し魔力を込め始めると身体が徐々に竜になり始まる。
「昼にも言ったが、魔法の基本は想像だ。 その点、絵が描ける君は想像力はある方だが、魔力を練るのが下手すぎる。 私もいろんな人間に憑りついてきたが、ピカ一で下手だ。 だからまずは魔力に慣れることから始める。 そのための竜の姿だ」
クリムが説明している間にラナには翼が生え、尻尾が生え、角が生え、手足が竜のそれになっていた。 シャツやズボンにはちゃんと翼と尻尾用の穴が空けられていた。
「こんなんで本当にいいの?」
疑いの目でクリムを見る。
「君にはちゃんと竜の魔力が流れている。 その姿でいれば、自ずと身体に魔力が馴染む」
そういうものか、と勝手に納得してラナはカニの魔物に効く匂いを作り始めた。