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22話 食事

 地形、環境、それとこの辺りの魔物の対応、今日できることをすべて済ませた。


 「ラナ、そろそろ帰りますよ」


 大きな鍋の側で横になって寝転がってる妹に声をかけるが、生返事が返ってくるだけで動こうとはしなかった。


 「急がないと夜になりますよ」

 「……お姉ちゃん、これって詐欺じゃない?」


 横になったまま声が返ってきた。

 

 「何がですか?」

 「何がってこれだよ、これ! カニ!」


 ラナは立ち上がり鍋を叩いた。 その衝撃で中に入ってたドブ色の水が鍋からこぼれた。


 「姿形はカニのまんまなのに、なんでこんなに臭いの!? なんでこんなにまずいの!? どこに訴えればいい!!」 

 「魔物だからじゃないですか?」


 「雑ー」と言ってまた倒れる。

 西に来て丁度よさそうな場所を見つけ、ある程度のカニ型の魔物を倒した。 そのついでにラナは魔法で鍋を取り出した。

 そして魔法で水を入れて、煮込む。 いい感じに茹って来た時に異変は起きた。 ダシが出たのだろうか透明だった水がドブ色に変わり、変な異臭までし始めた。

 それでもラナは、諦めきれず一口だけ口に含んだがすぐに吐き出した。

 それからすっかり拗ねて横になっている。


 「ねぇ……アレ爆破していい?」

 

 ラナが鍋を指差した。 ロナは渋々だが承諾した。 そうでもしないと動こうとはしないし、それでスッキリするならそれに越したことはない。


 ラナは立ち上がり羊皮紙に爆弾の絵を描いて鍋の中に入れて、鍋ごとカニを爆発した。 地面が振動し、遠くで鳥が飛び立った。

 やりすぎだ、馬鹿!

 ロナの心境などお構いなしに豪快に笑いスッキリした様子で、ロナの元に駆け寄り町に帰った。

 家に着いたら少し説教がいるかもしれない、そう思うロナだった。




 メルクに今日の調査報告をして家に着いた。 家にはすでに明かりがついていて、何やらおいしそいな匂いがする。

 家に入るとヴァンスがエプロンをつけて鍋を掻きまわしていた。


 「ヴァンスさん、ただいま帰りました。 食事の用意までしなくてもいいのですが……」

 「ロナさん、ラナさん、お疲れ様です。 住む場所も食事を提供してもらってるのでこれぐらいは」


 お玉で鍋の中身をすくって黄色いスープを小皿に垂らす。


 「味見? わたしがする!」


 荷物もそのままにヴァンスの横にいって小皿を受け取り、味を確かめた。


 「あまーい!! 何これ、おいしー!!」

 「カボチャのポタージュですよ。 市場で安く売っていたので丁度いいかと思ってね。 これでも料理の腕には多少の覚えがありますよ」

 「ほほぉー、それは今夜は楽しみですな。 ねぇ、お姉ちゃん!」

 「そうですね、でもその前に荷物を片づけましょう」


 2人は荷物をそれそれの自室に置いてすぐさま食卓に着いた。 食卓には、人数分のカボチャのポタージュとパンが2つ、それにトマトソースのパスタがすでに用意されていた。

 三人は手を合わせてから夕飯にありついた。

 パンは少し固めだが、ポタージュに浸して食べるれば程よくふやけて食べやすかった。 それにポタージュに浸すことで、パンにもカボチャ独特の甘い味が付きおいしかった。

 パスタは足りなかったら、とのことで用意されていたがこれもおいしかった。 トマトソースのちょっとした酸味が言えない味を出し、パスタもモチモチしていておいしかった。

 口をパンパンに膨らましてモリモリ食べては、おかわりをよそいに席を立っては座っているロナとラナに呆気にとられながら、ヴァンスも食事を進めた。

 料理をした本人として、こんなにいっぱい食べてもらえるならまた作ってみようと思うヴァンスであった。

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