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20話 竜

 役所から許可を得て、壁際の売地を貸してもらっている。 そこにロナたちの家を建てる。 もちろん一から建てていくのではなく魔法を使い、家を持ってくる。

 そのためロナたちの荷物は少なく済んでいる。 必要最低限のものだけ持って後は、家を魔法で持ってくる。

 前までは、ロナも渋々といった感じだった。 魔法を使えば妹であるラナが苦しむからできるなら使いたくなかった。

 しかし、一回使ってしまうとなかなか抜け出せなかった。 その利便性が魅力すぎるから。

 行路師は単に道を作るだけでなく、その道魔物を寄せ付けないように魔物の嫌う匂いを撒く。 その匂いは魔物により違うため周辺の魔物を調べ、その魔物にあった匂いを撒かなければならない。

 そのため行路師はいつも荷物がいっぱいになってしまう。 バック一つでは足りないほどの量をバックに詰める。

 向こうについてから匂いをつくればいい、という人もいるがそれは仕事に責任感を持ってない人が言う言葉だ。 

 もし材料がなくて作れなかったら?

 そのせいで、人を傷つけたら?

 いったいどう責任を持てばいいのだろうか。

 仕事に対して責任感があるから、どんなに重くても持っていく。

 もしもがないようにする。

 不備がないようにする。

 それが仕事をするってことだ。

 しかし女性である二人にはその荷物は重すぎるのだ。 それこそ足が地面に沈んでいくように。

 そのため、ラナは魔法で家を持っていく。 どんなに身体に無理をしても仕事をするため出張があるたび家を持ってきた。

 それも今日まで、もう魔法の事で苦しむことは無くなりロナにも心配をかけずに魔法を使える。


「それで竜になるにはどうすればいいの?」


 ローブから肉(竜)を引っ張り出した。 なんかぐてぇってしてる、乗り物酔いならぬ人酔い?

 少し揺すって呼びかけても返事はない。 デコピンしても反応はない。

 まぁいいか。 今度教えてもらうとして、ささっと済ましてしまおう。

 肉をそこらへんに置いてローブをかけて隠してから、適当な石を拾い上げて地面に幼稚な家の絵を描く。

 線はガタガタで絵とは言えないが、必要なのは『家』と認識することで綺麗な絵を描くことではない。

 そう自分に言い聞かせて、地面に手を付いて魔法を発動させる。

 手のひらに魔力を貯めて地面に流し込んでいく。

 ……なんかお尻がムズムズする、それに頭と背中が異様に痒い。

 身体をくねくね動かして痒みを誤魔化し、お尻を振ってムズムズも抑える。

 そして、地面から家が飛び出し引っ越しが完了した。

 ラナは自分の腕と足を見た。 家を持ってくるため魔力を地面に注いでいたら、腕や足の関節から先が竜のそれになっていた。

 青白い鱗がこびりつき、爪は鋭くなり竜の腕になった。 竜の足になった。


「驚かないのか?」


 いつの間にか、肉がラナの真後ろに翼をはためかせていた。


「肉......、これが竜になるってこと?」

「名前については些か議論したいが、そういうことだ。 翼や尻尾、角まで生えているぞ」


 肉と呼ばれてムッとした表情を浮かべラナの現状を教えた。

 ラナはお尻や背中に視線を移し、頭を恐るおそる手で確認すると堅いものが二本あるのが分かった。

 これが、竜になることねぇ......。 前から知ってたからそこまで驚かなかったけど、そうか......、尻尾はズボンを突き破ってくるか。

 ん? ちょっと待てよ、これパンツまで破かれてないか? 尻尾の付け根を見て、触ってどこから出てるのか確認して安堵の息を吐く。

 たぶん大丈夫。 ゴムのところを押し退けただけだ、たぶん。

 あまり深く考えないようにした。

 さてと、上はダメだね。

 背中の生地がズタズタにされている。 翼が引っ込めばポロリしてしまう。


「で、どうすれば戻るわけ?」

「時が経てば戻る」

「どんぐらい?」

「数分だ」


 それを聞いて安心してからローブを拾い上げ、羽織った。

 着替え準備しないと......。

 ラナは二人が戻ってくるまでに、元の身体になってることを願い家に入った。

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