14話 また一緒に
「ラナ! ラナ、起きてください! 大丈夫ですか!」
ロナはベットで横たわってるラナを激しく揺すって、なんとか起こそうとしている。 ヴァンスは近くの医者を呼びに部屋を飛び出していった。
ラナが寝ている間、無事にフェリスの町に入ることができて安い宿を取った。 ロナはラナもそばを離れず、ずっとラナの手を握っていた。
しかし急にラナの容体が悪化した。 突然悲鳴をあげたり、身体を大きくしならせたりと苦しそうだった。
ロナは何度も呼びかけた。
「死なないで!」
と。
ずっと、声がかれることも厭わないでずっと呼びかけていた。
どれぐらいラナが苦しんだのかもう覚えてないが、今は落ち着いている。
穏やかな寝息を立てているが、まったく目を覚まさない。
「ラナ! ラナ!」
ラナの頬を軽くたたいても何も反応を示さない。
まだ息をしているから生きてるのは間違いない。 でも、なんで起きないのですか……。
力なくラナの近くに置いていた、丸椅子に腰を下ろした。
ロナの目に涙が貯まって、やがて一筋の線を引きながら頬を落ちた。
「ひとりに、しないでくださよぉ……」
ロナの声が震えた。
ただ一人の妹を失うのが怖かった。
ラナの声が聞けないことが怖かった。
こえから一人でいるのが怖かった。
いろんな不安が涙となって流れる。 とめどなく大粒な涙があふれる。
ラナの身体に顔を押し付けて泣いた。 誰に聞かれようが、どんな風に思われようがお構いなしに大声で泣いた。
心臓は動いている。 胸は呼吸に合わせて上下に動く。
それなのに、目を覚まさない。
生きながら死んでいる。
まさにそんな状態だ。
「おねえちゃん、重い……」
ロナはバッと顔を上げてラナの顔を見た。 薄らと目を開けて、疲れ切った表情で笑っていた。
「うへぇ、生きてる……」
ラナは、ベットに深々と身体を沈めて安堵の息を吐いた。
「ざまぁみろ……。 私は生きてるぞぉ」
ラナは笑う。 弱弱しくだが、声を出して笑顔を作って笑う。
そんな妹を見たロナも笑う。
涙を拭いて、ラナの手を握って、ラナの体温を感じながら笑う。