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CASE4 結衣
CASE4 結衣
瞳にもらったカイロをポケットにつっこみながら、寒さを紛らわすために足ぶみをする。履きなれたローファーの靴音がコンクリートの地面を叩いた。
神崎がひとり、怪盗同好会を逮捕したらしい。これでポイントは優勢。敵は仕掛けてくるしかない。どんなリスクをおったとしても敗北よりはずっとましだ。
可能性が高いのは瞳と新たに捕まったひとりを一気に助けだして逆転してしまう作戦だろう。
引き分けでは意味がない。
時間がない状況で、勝利への最短距離は本部を襲撃することにあった。できることならいますぐ会長たちのいる体育館に駆けつけたいくらいだ。
この手帳を守らなくてもいいのなら、また誰かと対決したい。
だがそのようなことを会長が許してくれるはずもなくて、運命は咲にゆだねるしかなさそうだった。ミスをそのままにしておくような先輩じゃない、きっと助けに来た敵を捕まえて勝負を決定づけてくれるはずだ。
信じるしかないというのはもどかしいけれど、あとすこしだけ我慢しよう。チームワーク、という言葉が頭に浮かんだ。