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離島へ

 鼻をくすぐる味噌汁の香り、無機質な白い照明。顔を合わせる6人の沈黙を破ったのは、昨日の飲み会の余韻をシジミ汁で打ち消そうとしていたリーダーの朝陽だった。

「やっぱり広島にいくんだったら、その名の通り島に行きたいよな。宮島とか有名じゃん。」

「安直すぎるけど、おもしろいかもね。」

以外にも肯定的な返事をしたのは、副リーダーの蒼佑だった。


 ここは、東京都にある某大学の教育学部。3号館の9階、103教室に集まる6人は、今年度ゼミで行われる実地研究のテーマと行先の決定に行き詰っていた。今年度の行き先が広島に決定した時点で、他のゼミのメンバーは、平和学習、保育・子育てなどテーマを定め、着々と動き出しているにも関わらず、リーダー朝陽率いる本ゼミは全くテーマが決まらなかったのである。

「じゃあ、離島教育にしようよ。宮島は観光地が多いけど、大崎上島町は高校もあるし、離島ならではの教育に力を入れているみたいだよ。」

授業開始から20分一言もしゃべっていなかった由紀がそういった。

「由紀ちゃん、スマホいじってたけどサボってるわけじゃなかったんだね。」

「当たり前でしょ、インスタ見てた佳奈と一緒にしないで。」

「私だって、サボってるわけじゃないよ。見て、ここ!夕日奇麗だし映えそうじゃない?この大崎何とか島行くの私も賛成!」

佳奈は次々とリールを見せる。

「まあ、映えは置いといて、勉強になりそうだし、ここにしよう。」

蒼佑がまとめる。

「宮島に行けないのは残念だけど、島は面白そうだよな!よし!6班改め、離島教育班、ここに結成!みんな手だして!」

朝陽、佳奈、雄二、由紀、蓮、蒼佑の順に手が重なる。

「行くぞー!えいえいおー!」

「おー!」「おー・・・」「おー」「・・・」「おー」

それぞれの掛け声とともに、4月25日火曜日、ここに3年教育学部ゼミ6班改め、離島教育班が誕生した。

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