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第二話 気づき





ある時、光を生み出した意思の一部が最初の意思に近づいていく。




(ちかくになにかいる。)




そして最初の意思は新しい意思の一部に接触する。




(…ふしぎだ。)




(かんじる…)




(…もっと)




最初の意思は接触したものに興味とも言うべきものを抱き、それに積極的に接触するようとするようになった。




(…なに?)




いつもの様に最初の意思が他の意思の一部にゆっくり近づいていると、それらは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。


そこまではいつも通り、なんの変哲もない日常の一部だった。


しかし、最初の意思は気づく、何かがあることに。


それに近づくと先に進める場所があるのだと気づく。


最初の意思はその先に向かうことにした。



(?)



それは戸惑いだった。


体を進めることが出来ない、拒否されるかのごとく弾かれるのだ。


困ることなど、できない事など無かった最初の意思にとって、それは興味を抱くに足る現象だった。


そしてしばらくすると最初の意思は進むことは諦め、注視することにした。


その先にあるものを。




(???????)




そして見た、最初の意思の理解から離れた、驚くべき世界を。




気付けば見入っていた、魅入られていた、その世界に。




(!!!!!)




この世界にはない、変化や秩序、それにより完成された儚くも美しい世界、次々と状況を変化させ、飽きさせない。


光を、空間を、時間を、ここまで美しく感動的なものだと感じたことは未だかつてその意思には無かった。


最初の意思は自身が高揚しているのに気がつく。


そして思う。




(ほしい)




美しい世界が




(欲しい)




いま自分が観測しているもの、その全てを




自分のものにしてしまいたい!


そう欲した。


その瞬間。



ブツン



(?)



つながりが消える。



(????)



先程まで見えていたものが見えなくなった。


混乱した。



(何が起こった?)



最初の意思は悩んだが、何も分からなかった、何も出来なかった。


あの世界への未練は残っていたが、悩んだ末に諦め、暇を潰そうと元の生活に戻ることにした。


そう考え、まわりに意識を向け、気づく、無い、いない、何処にも元々追いかけ回していた他の意思がいない。


そこでその意思が抱いたのは怒りだ。


それは初めて抱いたもので、自身の身さえ焼き焦がしてしまうのではと思えるほどの感情の奔流だった。


元より自分のものでは無いそれを奪われたと怒りに震え、なんの目的があるわけでもなくただ、自身が感じる怒りを表すかの如く暴れだす。


それはまるで子供が癇癪を起こしているかのようだったが、そのものが振るう力はまさしく桁違い。


なんの意味もないその行動は世界を揺らし、大いに不安定にした。


しばらくの間続いたその行動はその意思がとあることに気づいたことで止まる。


それは不安定になった世界の弊害で、ふとした拍子にその意思は気づいてしまった、気づけてしまった。


この世界の裏?とでも呼ぶべき物があると。


それに気づくとその意思は強引に裏と表をつなぐ亀裂を作り出し、裏側に意識を向ける。


するとそこに広がっていたのはその意思が恋い焦がれた美しい世界。


今度はそちらに入ることが出来る、そう歓喜し裏側に入ろうとして、気づく。


その美しい世界はあまりにも儚くて、もし自分がそのまま向こうに入ると世界を台無しにしてしまうかもしれない。


それを恐れた意思は考え、向こうの世界に影響がない程度にした自分の一部で向こうの世界を訪れることにした。




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