アクシデント
「だから、戻って来てよ。私をひとりにしないで」
その時、遼平の手が動き、美菜を抱きしめた。
「遼君!」
顔を上げ、遼平を見た。目を開けている。
「よかった!」
思わず遼平に口づけた。
長いキスだった。遼平への想いをありったけ唇と舌に込め、遼平の唇と舌を味わった。
唇を離したとき、遼平が言った。
「これ、夢じゃないですよね」
「うんうん、夢じゃない」
それだけ言って、美菜は泣き崩れた。
怖かった。やっと未来に希望の光が見えていたのに、遼平を失うかと思い、怖かった。
怖くて怖くて、諦めかけていたときに遼平が戻って来てくれた。
安心したとたん、心の堰が崩れ、遼平の胸に顔を埋めて声を上げて泣いていた。
遼平は何も言わずに美菜を抱きしめていた。
「怖かったよう。遼君が死んじゃうかと思うと怖くて怖くて」
「俺、どうなってたんですか」
「低体温症になって気を失ってたの。だから必死で温めたのよ」
「ありがとう。ミーナさんが助けてくれたんですね」
遼平が耳元で囁いた。
「ミーナさん温かくて気持ちいい」
「遼君はまだ冷たい。でも私も気持ちいい」
「ミーナさん?」
「ん、何」
「俺たち裸なんですか」
「うん、そうだよ」
「パンツも?」
「うん、真っ裸。体を温めるには真っ裸で抱き合うのがいいって、祐美に聞いてたから」
「それは嬉しいですけど、ミーナさん大丈夫なんですか」
「大丈夫みたい。遼君を助けようと必死だったから、鳥肌立つ暇もなかったみたい」
「今も?」
「うん、遼君と抱き合ってると気持ちいい」
その時、美菜は股間で何かがうごめいているのを感じた。
「やだ、遼君、エッチなとこ触らないで」
「え? 俺の手、ここにありますけど」
美菜の裸の背中を両手で撫でている感触があった。
「じゃ何これ」
「あー、それは俺の男の証拠ですね」
「え、それって動かせるの?」
「自由自在にってわけにはいきませんけど、ぴくぴくって感じです。ミーナさんと裸で抱き合ってると思うと勝手に元気になったみたいです」
「そうなの? 元気になったのならいいけど」
美菜は股間のもぞもぞした感触を振り払おうと腰を動かした。弾みで美菜の敏感な場所にそれが触れた。
「あん」「あ」
二人が同時に声を発した。
「どうしたの」
「入っちゃったみたいです」
「入った? あれが? 私の中に?」
「はい、先っぽのほうだけですが」
美菜は未体験の感覚に包まれていた。腰を思い切り動かしたい気分がする。体が火照っている。
「遼君動かないで。なんだか変な気分になっちゃう」
「俺、動いてないです。動いてるのミーナさんです」
その通りだった。意識せずに腰を動かしていた。同時に遼平への想いが溢れ出す。
「遼君、大好き」
美菜は遼平を力いっぱい抱きしめた。
「あ」同時に声が出た。
「完全に入っちゃいました」
今は美菜にもわかった。美菜の中に遼平がいる。今、大好きな遼平と結ばれている。感動が止まらない。腰の動きも止まらない。
「ミ、ミーナさんだめです。我慢できません。出ちゃいます」
その瞬間、美菜は喜びに包まれた。
赤ちゃんができるかもしれない。あんなに欲しくてたまらなかった赤ちゃん。それも愛してやまない遼平との間の赤ちゃんが授かるかもしれない。
美菜は遼平と結ばれている悦びに浸りながら叫んでいた。
「いい。出して。私の中にいっぱい出して」
その言葉を待っていたかのように、遼平が動き出した。腰を激しく突き上げる。
数秒と保たずに、遼平の動きが止まり、直後に大量の何かが美菜の中で迸るのを感じていた。
「出ちゃいました」
遼平が、いたずらがばれたような顔をして言った。その姿にも愛しさが溢れ出す。
「いいの、いいの。赤ちゃん欲しいから、嬉しい」
「ミーナさん、嬉しいです。またミーナさんと結ばれて」
遼平が美菜を強く抱きしめた。裸の胸が密着する。
また? そうか、美菜は初めてだったが、遼平は前の世界で美菜としていた。
「遼君、私としたの何回目?」
「それが……二回目っていうか三回目って言えばいいのか」
「どゆこと」
「えっと、ミーナさんの中に入ったのは二回目で、出ちゃったのは三回目ってことです」
「えーっと、つまり?」
「つまり、一回してる間に二回出しちゃったってことです」
「やだー、遼君やらしい」
「えー、だって一回終わって離れようとしたら、ミーナさんが、このままでいて、遼ちゃんが私の中にいるのを感じていたいって言ったから。そのままでいたらまた盛り上がっちゃって」
そうか、そういうことならわかる気もする。今も美菜の中に遼平がいる。




