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会話するだけ  作者: 蓮根三久
×××
1/5

説明&セ

「まあそういうわけだ」



「なるほど、そういうわけ」



「………」



「………」



「……いや、僕ら二人はここでただ会話をしているだけなのだから、僕らがこの物語のルールを理解しても意味が無いんじゃないか?」



「確かに。言われてみればそう」



「じゃあ説明してみせようか、この物語のルールという奴を」



「私はやらないから」



「オッケー、じゃあ僕がやろう。この物語は全編このように会話でのみ行われる。会話って言うのは鍵括弧で囲まれた中の話し言葉を指すんだ」



「書き言葉だったらだめってこと?」



「だめだ。書き言葉を話した人間はたちまち削除されてしまうよ」



「そんな物騒な世界観で今後繰り広げていくの?」



「もちろん冗談だけれども、しかしこうして会話だけで物語を繰り広げていくとなると一つ懸念点があるんだ」



「それは…なに?」



「いったい誰が話しているのか分からなくなる」



「確かに。じゃあ語尾を付ける。あなたの語尾はこれから『セ』ね」



「なんだよそれ。語尾ならもっと語尾らしいものを付けてほしいセ」



「語尾っぽい、それ」



「しかしまあ、どうしてこんなものを思いついちまったのか。これは小説とは言えないんじゃないか?」



「曰く、これを書こうと思った人が会話文以外を書くのが面倒だと思ったからだと」



「なるほど。というかそれはどこ情報だ?」



「情報の出どころは察しを付けてほしい。これはまだチュートリアルの段階で、私達が話しているわけではないのでしょ?」



「それもそうか。これは僕らがはなさせ……はなせられて………強制的に話をさせられている状態だからね」



「本当にそうか疑わしくなったけど」



「まあいいよ。つまりこれは本編にも何ら関係のない、言うなればアニメのDVD特典でついて来た副音声みたいなものなんだろ?」



「副音声が少なからず本編と関わりがなかったらそのDVDを買った人は損をしない?」



「それも込みで買うのさ。それに分かっていないね。作品を応援するために物を買うんだよ。買う買わない以前、その作品が公開された時点で僕の人生には得しかないんだ」



「ずいぶん幸せな思考」



「じゃなきゃ幸せな人生なんて歩めないぜ」

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