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記憶の混濁

少しずつ記憶を思い出すリシェール。

その先の答えを出さなくてはと悩みながらも

変わらないバルバード家。


第6話 始まります。


バルバードが滞在先の屋敷に到着すると

侍女や執事が慌てて医師を呼び

寝室にリシェールを運んでソッとベッドに

寝かせて額を触ると、熱が高いリシェールが

魘されて、涙こぼれていた。


「ぅぅっ...嫌!いや、来ないで!」


「リシェール...。大丈夫、私が傍に居るから。」


リシェールの額に手を置くと少し落ち着いたのか

静かな寝息が聞こえて、少し安堵した。

医師を連れてきた執事が部屋に入りリシェールを

診察すると、心のバランスが崩れかかっているのと

記憶の混濁が激しくなる可能性があると言われ

高熱やうわ言が続くので、様子を見るよう言われ

心が落ち着く注射を打つと、リシェールの状態が

安定するのを見て、医師は屋敷を後にした。


父上たちが心配そうに今日の招待を断る訳には

いかずとりあえず、私だけ屋敷に残るといい

早く帰るからと家族から言われ、リシェールの

眠るベットの隣に座ると、手を握った。


「1人にして、怖い思いをさせた。ごめん。」


リシェールの前髪をサラッと触ると

すやすや眠る彼女の顔を見て不安が押し寄せた。


(王太子殿下は、リズと名を叫んでいたが

リシェールは、リズ何だろうか?)


2年間も同じ空間で生活してきたのに

リズと言う知らない名前に、酷く混乱と

ざわめく心にグッと服を握りしめた。


翌日になっても目覚めないリシェールに

母上は、泣いて可哀想にと心を痛めていた。


「旦那様、王室から手紙が。」


リシェールの部屋に居た父上に執事が手紙を

手渡すと封を切り中を確認し読む父上。

少し険しい顔で私に父上が


「今日の昼過ぎに、屋敷に王太子殿下が来る事になった。」


予定より早い訪問に、私の心は余裕がなくなり

苛立ちから、ギリっと奥歯を噛み締める表情を

姉のマーブルが見ていた。


昼過ぎ王太子殿下が屋敷に到着し

家族全員で応接室で話をすることに。

容態が急変しないよう侍女には

傍を離れないように伝えた。


「ようこそ。王太子殿下お掛けください。」


父上が話すと、王太子殿下が腰を下ろして

母上、姉上が両サイドのソファーに座り

真ん中に父上が腰を下ろした。

私は父上の後ろで立って話を聞くことに。

すると、王太子殿下が立ち上がり深く頭を下げて


「昨日は、若君と妹君には、大変失礼をした。

心よりの謝罪を。」


「そんな、頭をあげてください!」


父上が慌てて立ち上がりびっくりしていた。

よくよく話を聞くと、リシェールの本当の名前は

リズ・オルド・シャルロット公爵令嬢で

2年前に婚約破棄をした途端に、彼女を邪魔とする

人が居て、馬車を襲い、崖から彼女を突き落として

殺そうとしたこと、2年間ずっと探し続けて

やっと昨日見つけたのに、まさか拒絶されたことに

酷く混乱しあのような態度になってしまった経緯を話され、保護して助けてくれたことを感謝すると

お礼と頭を下げられ、何か出来ることは最善を尽くすと言われた。


「で、リシェールを返せと?」


バルバードが、怪訝そうな表情で王太子殿下を

睨んだ。父上が止めなさいと言われたが私は


「今更、見つけたから引き渡せと?もう、家族同然で暮らしていたのに、やっと笑顔になって来たのに。」


グッと拳を握るバルバードを見たマーブルが

立ち上がり、バルバードの背中をさすった。


「リシェールは、昨日から意識が戻ってません。勿論、本当のご家族に返すのが、人の親として我々も分かっていますし、いつか、必ず別れは来ると家族で話しての保護でした。」


父上が話すと、母上がハンカチを頬に当て

涙ぐんでいた。


「とりあえず、昨日の今日ですし我々もまだ整理がつきません。彼女が目を覚ましてから、どうするか決めたいと思うのですが。」


「分かりました。今日はこれにて帰ります。」


スッとノワールが立ち上がり見送ると

誰一人言葉を発さないまま、私は眠るリシェールの

部屋に向かった。


「リシェール...。」


頬に手を当て、彼女の頬を優しく撫でる。


「好きだ...。」


ポツリと零す言葉をマーブルが部屋の扉の

隙間から聞いていて、弟の想いが痛いほど

伝わり涙こぼれおちた。


リシェールが眠って3日前。


(暗いのは怖い…。嫌だ、死にたくない!)


「ノワ!」


ガバッと半身を起こし、リシェールは

目を覚ました。ベッドの隣ではバルバードが

手を握ったまま隣の椅子に座って

ベッドの端に顔を伏せて眠っていた。


「ん…。」


「リシェール...?! 目が覚めたのかい?」


優しいお兄様の顔、瞳が潤んで心配かけてしまったと謝った。同時に、過去の記憶が少し思い出したことを話すか迷っていると


「心配ない。無理に話さなくていい。」


何かを察したのか、バルバードは何も聞かず

バルバードのお父様、お母様、お姉様を呼びに

部屋を出て暫くして泣きながら私何飛びついて

抱きしめてくれたお姉様や手を握って泣いて喜んでくれたお母様に、胸がズキズキと痛んだ。


「少しだけ、記憶を思い出したかも知れません。」


リシェールの言葉に皆が黙っていたが


「戻っても、リシェールはリシェールだ。」


「そうよ、居たいだけ居たらいいのよ。」


「今更、遠慮しなくていいと思うわ。」


「無理に思い出さなくていいんだよ。」



皆の優しい言葉に涙が溢れた。

でも、どうしたらいいのかまだ答えが出ない。

完全に記憶が蘇った時どうしたらいいのか。


不安でシーツを握りしめると

バルバードがリシェールの手をソッと置いて

手を握り、バルバードの顔を見ると優しく

私に微笑む笑顔に体がカッと熱くなった。


リシェールのままだったらきっと

バルバードお兄様のことが…。

まだ記憶の混濁が激しくて

自分が誰かなのか分からない。

でもいつか答えを出さないと

いけない日が来るんだと

リシェールの不安は、高まるばかりなのでした。

メリークリスマス☆ですね!私はインフルエンザで、寝込んでおります。喘息の持病持ちでもあり、咳が酷く昨夜は40度の熱に魘されました…。

皆様、体調崩さないようにしてくださいね!


⤵⤵⤵スクロール下に、☆☆評価、いいね、ブックマーク登録、コメントなどお待ちしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”

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