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失った記憶

リズを助けた人とは?


第3話始まります。


体中が痛かった。寒いし、熱い。

自分が誰なのか分からない...。

朧気な夢を何度も何度も、繰り返し夢を見ては

現実世界を私は行き来していた。


(私、死んだのかな...。)


「ぅぅっ...。」


「君!しっかりするんだ!」


「ノ...。」


フッとまた意識をなくした。危うい意識の中

そんな状態が1週間くらい、高熱が続いた。

ひんやりと誰かの手が額を触る感触に

ぼんやりと私は、目を開けた。


「気が付いた?」


「だ...?」


ゲホゲホッと咳き込む私に、真横に座ってた

彼が私に白湯をゆっくり、ゆっくりと

飲ませてくれて、声が少し出せるようになった。


「ここは、シベルト国の王都近郊の

僕の別邸だけど、君の名前分かるかな?」


まだ頭がぼんやりしていて

説明されてもよく分からない。

頭に巻かれた包帯を抑えて考えるが

言葉にならない。自分は誰なのか

ここは何処なのか...。

知らないベッド、知らない部屋、知らない天井に

思い出そうとしても、頭の中に濃い霧が

かかったように何もかもが分からなく


「分からない...。私は、誰?」


酷い混乱を起こして首を左右に振りながら

現実世界に、酷く動揺して泣き叫ぶ

私の腕を彼が優しく掴んだ。


その人の顔を、ぼんやりする頭で

見上げると、瞳はコバルトブルーの瞳

白髪のような白い髪色がキラリと輝いて

彫刻のような白い透き通る肌色に何処かの

王子様か天使の使いかなと思うほどの容姿だった。


「天使...?」


パタッとまた意識を失う中、天使様が

私を呼んでいた。ああ、きっとここは

死人(しびと) が住まう天界の世界なんだなと

フワッと笑みを零した私の眠る顔に彼が


「笑ってる...。」


不思議そうな顔で私の額に

またあの、冷んやりする手を額に触る感触が

気持ちよくてまた眠りについたのだった。


私の意識が完全に取り戻したのが

それから5日後の事だった。


「お嬢様、おはようございます。」


朝に必ず私が、寝てる寝室に侍女と言う人が

部屋をノックして、紅茶を載せたカートの音が

カラカラと鳴るのが好きで、私はすぐ目を覚ます。


「おはよう!キャンディー!」


カバッとベッドから飛び起きると

高いべットをピョンッと飛び降りた。

キャンディーは毎朝の光景だが慣れずに

慌てふためいて、朝から悲鳴をあげた。


「キャーッ!お、お嬢様!危ないです!」


「キャンディー全然平気だよ!」


淑女とやらで、ベッドから飛び降りたら駄目とか

言われても、私にはよく分からず

毎朝、キャンディーに叱られてしまうのだ。

部屋の扉が開いてるドアをコンッと叩く音がして


「ふふっ。リシェールおはよう。」


「あっ!バル兄!おはよう!」


リシェールが、パッと振り返ると

タッタタと白い絹のフワフワパジャマで

素足のままバル兄の元へ走り胸に飛び込んだ。


「おっと。リシェール元気になってきたね。」


「うん!でも、たまに頭が痛いよ?」


「無理は禁物だからね?それと走って

リシェールが転んだりしたら

僕の心臓がもたないくらい、心配だよ?」


「バル兄、ごめんなさい...。」


彼女は私の腰に手を回しギュッと抱きしめながら

チラッと顔を上げシュンッと見せる表情が

大人の女性のように見えて私の胸がドキッとした。



遡ること2週間ちょっと前。


私は、雨が酷く降りしきる中

夜勤で国境近くの森を警備していた。

崖付近の見回りしてると

一人の女性か、子供かが倒れているのを見つけて

馬から降りると慌てて走り寄り、彼女を抱き上げた。


「君!おい!分かるか?」


雨で酷く濡れたのか体は冷え切り呼吸も浅い。

このままだと、あと数刻もすれば

死んでしまうと思った私は彼女を馬に乗せると

ヒラッと馬に跨り、私の別邸に馬を走らせた。

バンッと屋敷の扉を開く音が響いて

侍女や執事が慌てて迎え入れると


「至急、医者を、部屋を温めろ。体が氷のようで死にかけてる。」


血だらけでぐったりする彼女の姿を見て

ヒッと侍女が小さく悲鳴を上げ

執事のアルが急いで馬車に乗り込むと

医者を呼びに走った。


「とりあえず、濡れた体を。」


侍女たちに、服を脱がせて濡れた体を拭いてもらい

絹のパジャマを着させ終わると

侍女から着替えが終わったと聞いて

部屋に入り応急処置の回復魔法を唱えた。


「汝に、癒しの加護を、そして癒せ傷を。」


フワッと青い光が彼女を包むと

全身傷だらけで、特に頭部からの出血が酷く

医師を待つまでこのこの体力が戻らないと

思った私は、治療魔法をして容態を見ることに。


「ぅぅっ…。」


「大丈夫、大丈夫だから。」


彼女の小さな手を握ると苦しそうな呼吸が

少し和らいだのか、彼女は眠りについた。


「バルバード様!お医者様が到着なさいました!」


息を切らして走ってきた執事のアルが

部屋に入って来て、医師の診察のため

部屋から一旦出て数刻。

カチャッと部屋の扉が開くとバルバードが医師に


「彼女の様子は?」


「頭を強く打っていて、手足の骨折、全身打撲

奇跡的に臓器の損傷はございませんが

酷い状態には変わらないのと

この後高熱が続き彼女の体力次第かと。」


難しい顔でバルバードを見上げる医師に

私はグッと拳を握って執事のアルに


「王都にいる私の親友の魔術師、ミゲルを至急呼べ。」


「すぐ準備を。」


「すまないが、頼む。」


夜通し寝ずに、私と侍女は小さな体の彼女を

看病しベッドサイドに置いてる椅子に座り

彼女の手を握ったまま私は、いつの間にか眠っていた。


「おい!起きろ!」


ゴンッと音ともに頭に強い痛みで飛び起きると

金色と紺色の魔法ロープに身を包み

金縁メガネを片方かけて、黄金色の髪の毛に

赤い瞳のミゲルが不機嫌そうな顔で

私の椅子の横に立っていた。


「いっ...。」


「お前な、夜中に呼び出して来てみれば

仲良く手まで握って、気持ちよくうたた寝とか

寝てない俺からしたら、腹が立つ。」


「ご、ごめん。」


「でっ、この子は?どいうことだ?」


バルバードが説明をして、ミゲルに伝えると

でっかいため息をついて


「とうとう、知らない子供まで拾うと思わなかったよ。」


「いやーなんかほっとけなくてさ。」


あははと、頭をかきながらミゲルを見ると

仕方ないと諦めて親友の頼みを聞くことに。


「とりあえず、折れた箇所と他の箇所は

治療出来ても、高熱までは無理だ。

解熱薬を飲ませるしか方法がないが。」


ミゲルの顔が真剣な表情に変わり

苦痛に歪む彼女を見て治療の邪魔だと

バルバードをどかせるとスッと

ミゲルが息を吸い込み


「森の精霊の加護によりて、我が願いを。」


グリーン色に輝く光が彼女の体を繭のように

包み込んでバッと、ロッドを振り上げる。


「ハリハートヒーリング。」


彼女の体はベッドから浮き上がり

繭の中で、高度な治療魔法がかかり

ゆっくりゆっくりと彼女の内部の損傷箇所を

治していく光景はいつ見ても美しく

ミゲルしか出来ない治療魔法に息を飲んだ。


「半日かかるけど、その間は、絶対死なない。」


ポンッと、ミゲルが私の肩を軽く叩くと

ホッとした表情をした私にミゲルが


「さっさと寝ろ。俺が診ててやるよ。」


「いや、寝れない。」


「魔力使いすぎて、顔青白いくせにとっと寝ろ!」


ミゲルがロッドを、サッと振ると

私は、カクンと寝てしまい

ミゲルが魔法で私の体を浮かせながら

フワフワと寝室まで運ばれ

自室のベッドで眠ってしまっていた。


「手のかかる奴。さて、この子の記憶は。」


記憶を探る魔法を使うミゲル。

だが、弾かれてしまいまさかと思いながら

再度魔法を使ったが、弾かれてしまった。


「頭部を強く打った、障害か。やっかいだぞ。」


ベッドサイドに置いてる椅子に座ると

溜息をつきながら、バルバードが起きてからだなと

とりあえずこの子の様子を見ることにした。


「記憶喪失の可能性?」


起きて早々に、ミゲルの一言で目を見開いた。


「ああ。記憶を探ろうとしたら、弾かれた。

無理にこじ開けると、精神崩壊に繋がるから止めた。」


「そうか。」


「自力で思い出すか、そのまま記憶が戻らないか...。」


難しい表情のミゲルを見て俺が


「とりあえず、周辺貴族に捜索願いが

出てないかを聞いてみようかと。」


「嫌、今は止めとけ。もしかしたら、

訳ありか、殺されてないのが分かったりしたら

またこの子に危害があるとも言えないから

探すなら、秘密裏に探せ。」


「分かった。」


夕刻に一度ミゲルは王城に帰ると

熱が段々と高くなる彼女に解熱薬を飲ませようとしたが

この状況では飲めないと思い口移しで

私が彼女に飲ませることに。

彼女の意識が混濁する状態が2週間くらい続いて

ようやく目を覚ました彼女はミゲルの診断通り

記憶喪失だった。


着ていた身なりから、上級貴族の彼女で

間違いないはずなのに秘密裏に捜索しても

なんの手がかりもなく、途方に暮れていた。

名前がないのは可哀想なので仮の名を付けた。


「今日から、君の名をリシェール。

リシェール・ハインズ。

公爵家の私から、君に名を授けよう。」


「リシェール?」


キョトンと私を見ている彼女の頭をポンッと

手を置くと、私は彼女を見つめ微笑んだ。


「そうだ。私の名は、バルバード・ハインズ。

リシェールの兄だと思ってくれていい。」


「バルバード?」


「バルでいいよ。リシェール。」


「バル兄!」


「そうだ、バル兄でいい。」


彼女を抱き上げると喜ぶ彼女を見て明らかに

幼女ではなく、大人の女性に思えて仕方なかった。

体だけが縮んだのかと、ミゲルや医師の意見も

聞いてみたが、まだ分からないとの事だった。


国王陛下には、特例保護者として

リシェールを保護下に置いて貰える許可を頂いた。

従姉妹と言う設定で姉や、父と母も賛成してくれ

リシェールと俺は別邸での生活が始まったのだ。

鼻水と鼻づまりに苦しみ中のマロです。


だんだんと、新小説も書く内容が少しずつ

塊出してきて、事細かな文面を書き出したり

頭をフル回転しながらなのでゆっくり投稿に

なりそうです。


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