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王太子から冷遇され、婚約破棄をしたら記憶を失い、君の記憶に彼は存在するのだろうか?  作者: 猫又 マロ
メルの転生

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君の帰りを想う日はない

朝の謁見に呼び出された、一人の騎士。ロキシーが呼ばれた理由とは?


午前の鐘がなる頃、謁見の間に向かう一人の騎士が、赤い絨毯を踏みしめながら、側近のルカと並んで廊下を歩いている。


高い天窓から差し込む朝の光はまだ柔らかく、赤い絨毯を淡く照らし、巨大な柱には金の装飾が施され、謁見の間へと続く道は静まり返っていた。控える近衛兵たちの鎧が、かすかに鳴る。謁見の間の重厚な扉がゆっくりと開かれた。


 白を基調としたベルベット生地に身を包んだ一人の騎士団員が、静かに謁見の間に歩み入る。肩には金糸で刺繍された刺繍の紋章。胸元には幾つもの勲章が整然と並び、朝の光を受けて輝いていた。この国でかつて魔王封印に携わったとされる、英雄と称えられた王都騎士 副団長――ロキシー・モズ・アラン。玉座の前で膝をつき、頭を低く下げて挨拶をした。


「お呼びでしょうか。レオハート国王陛下」


 玉座に腰掛けるレオハート国王陛下が、深く椅子に身を預けながら、肘掛けを指でとん、とん、と叩いていた。陛下の考え込む癖だ。


「ロキシー、少し気になることがあってな」


「はっ!」


陛下の声音は静かだが、どこか重い空気に、何かあったのだと、悟っていた。


「メルが転生した――そう名乗る娘が、昨夜の夜会で現れたのだ。現在、世が王城に滞在してよいと、許可を出しているのだが、その双子の妹が引っかかるのだ」


ロキシーは、陛下の言葉を聞いて驚き、肩がぴくりと動く。謁見の間が一瞬、静まり返ると、ロキシーが少し顔を上げ、静かに怒りを宿しているようだった。


「その双子を探れるか?」


「陛下のご命令とあらば、必ずや任務を遂行し、その双子の正体を暴いてみせます」


 「ロキシー、頼んだぞ」


 ロキシーが立ち上がり陛下に一例をすると、謁見の間の重い扉がロキシーの背後でバタンと閉じる。腰に差した剣の柄を強く握った。


「メルの名を……利用するとは」


ロキシーの、リボンで結った赤い髪が揺れる。廊下で待機していた、ルカに調査を命じた。


「双子の身辺、出生記録、過去の行動、交友関係。洗いざらい、今すぐ集めろ」


「は、はっ!」


────☆

東の棟、執務室。


 昼過ぎ。差し込む光は白く強まり、机の上に書類の山のような報告書に、サインをするロキシー。執務室の扉がノックの後、ルカが執務室へと入室する。


「ロキシー副団長!報告書を届けにまいりました!」


 ロキシーは椅子に深く腰掛けたまま、片肘を机に置く。差し出された報告書を受け取り、静かに読み進め目を通していた。


 ――ロゼッタ。キーズ。フラン、年齢15歳

 出生記録、問題なし。幼少期の証言、問題なし。メルリアーナの魔力波長、記録に残るものと大きく異なる。

そして、姉、マリエット·キーズ·フランの記録を読むとロキシーの指先が、止まると紙を握る力が、わずかに強くなった。ぐしゃりと、報告書の端が歪む。


「…やはり、妹は、偽物か」


その声は低く、怒鳴るわけでもない。だが空気が変わった。部屋の温度が、数度下がったかのように。ロキシーの周囲から、目に見えぬ剣気が滲み出す。圧力のような気配に、側近ルカの喉がひくりと鳴った。ロキシーは視線を上げぬまま言う。


「報告、ご苦労。引き続き双子の監視を。何かあれば即座に知らせろ」


「はっ!」


 ほとんど逃げるように、ルカは執務室を退室。ロキシーはゆっくりと、椅子から立ち上がり、窓を開け放ち外は澄んだ青空。朝の柔らかな空気はすでに昼の光へと変わりつつある。風がロキシーの、長く伸びた赤い髪を揺らした。


「メル……」


メルの姿が脳裏をよぎる。剣の稽古で、怪我をすれば薬箱を手に駆け寄り、手当をする優しい小さな手も、俺が刺客に負けて、一度は死んだ命を、メルは力を解放してまで助けてくれたこの命。怒ると頬を膨らませ、無茶をすれば何度も叱られたな。魔王封印の時、自分の命よりも、ノワール陛下の為にと、迷いがない強い瞳。


今でもメルが消えたあの日を忘れない。

君の騎士として、次こそは君を守るから──


「本当に……メルは、帰ってきたのか?」


ロキシーの15年間、胸の奥に押し込めていた感情が、わずかに疼く。仲間としてではなく、ただ一人の男として、ロキシーは目を閉じた。静かな怒りと、拭えぬ期待の狭間で。


─謁見から始まった真実のページが、動こうとしていたのだった。


来ました!ロキシーです、ロキシー!あー絵が上手く描けるならば、挿絵が欲しいくらいの私の脳内のロキシーは、バチくそイケメン騎士になっていて、ご令嬢から結婚の話も沢山届くほどのモテ男に。爵位も、公爵家となり出世しまくりのロキシー。20歳を過ぎても未だに独身を貫き、メルの帰りをずっと、ずっと待つ男のロキシーを小説に出来たらいいなと。もちろん、メルとの二人の進展も考えております(*´﹃`*)グヘヘ

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