Happy valentine♡
ノワールが待ちに待ったバレンタインのお話♡
ご機嫌に城の中を歩くルノワール国王陛下は、城中からチョコレーヌの甘さが、鼻をくすぐる。そう、明日は待ちに待った年に一度の、バレンタインという日だそうだ。キッチンでは、侍女たちがバタバタと忙しそうにしてるのを横目に、愛しのリズも居るのかと、チラチラとキッチンを覗いていた。
「ノワール国王陛下?」
「うわっ!び、びっくりした!」
「どうかされましたか?」
今日も今日とて可愛くて、リズは美しくて、しかも僕が新しいドレスを送った淡いピンク色の特注のドレスがまた似合ってて、私の顔が解ける(ふや)ように笑顔を見せてしまった。
「いや、キッチンが慌ただしいから見に来てみたんだ」
軽く咳払いをして、ノワールは誤魔化した。
「そうでしたの。侍女たちが朝から何やら作ってるんですが、私もお手伝いに来たのですが、追い返されてしまい」
悲しそうな顔のリズを見てノワールが、キッチンに向かうと声を荒らげた。
「リズを追い返した侍女は、誰だ!」
ノワールの怒号に、侍女たちがびっくりしてボールやや、お皿が床に落ちる音が響いた。
「も、申し訳ございません!国王陛下!」
「リズを仲間はずれするなど、言語道断だ!」
「ひっ!も、申し訳ございません!」
怒るノワールの服の袖をリズが引っ張ると、ノワールがリズの手を掴んだ。
「さっ、リズもキッチンで好きなものを作るといいよ」
「その、陛下……私の目にゴミが入ってしまって…」
涙目の理由がそれだったのかと、苦笑いするノワール。リズが申し訳なさそうにキッチンに入る。
……さて、楽しみを見てはいけないし仕事に戻るか。
「陛下、やけにご機嫌ですね」
「あ、そう言えば明日バレンタインとかって日だっけ?」
ロイとギイが、書類を整理しながらノワールに話しかけていた。
「明日は、リズからこーんなおっきなチョコレーヌが贈られるはずだ!楽しみだな」
書類に判を押しながら浮かれるノワールに、ロイとギイが顔を見合せて嫌な予感がしていた。
「キャッ!」
ガシャンとお皿が割れる音が既に20回。溶かしたチョコレーヌがお湯に浸かったりと、リズの不器用さに侍女たちが、ハラハラと見ていた。
「王妃様、そろそろ……」
首を横に振るリズに、割れたお皿を片ずける侍女たち。キッチンからシュゴが見に来て開口一番にこう言ってのけた。
「才能がない、料理音痴、不器用、不味い、諦める方が懸命だな」
「な、シュゴ!そんな言い方ないでしょ!」
「おー怖い怖い。国王陛下の腹が壊れなきゃいいけどなっ」
笑い飛ばすシュゴに、リズは怒りながらもう一度だけやると、侍女たちに伝えるとチョコレーヌケーキの分量を計り出した。
「ねぇ、シュゴ。お母様大丈夫かな?」
「これはこれは、レオハート王子。リズ王妃様の頑固さと諦めの悪さだけは、強みでしょうけど」
チラリとキッチンを見つめると顔中が粉まみれのリズを見て笑い出すシュゴに、リズの息子レオハート王子がハラハラと、お母様の姿を見ていた。
────♡
そして、バレンタイン当日。侍女たちが作ったお菓子を騎士や、執事たち、恋人に送る姿を見たりして、ノワールは自分はまだかと、部屋の中をウロウロして待っていると、コンコンと部屋をノックする音が聞こえ、扉を開けるとリズが手を後ろに何かを隠して立っていた。
「あの、ノワール国王陛下……」
「リズ、二人きりだからノワでいいよ。さっ、中に入って」
……陛下、俺たちを忘れています
……ギイもいるんだけど?見えてない?
リズが、いつもよりしおらしく部屋に入るもんだからノワールの頬がゆるみぱなしだった。
「リズの好きな、ローズティーでいいかな?」
「うん。ありがとう」
熱々のローズティーがカップに注がれると、ノワールがリズ手を優しく掴むと、ソファーまで案内をした。
「あのね、ノワ」
「んっ?」
「あんまり、チョコレーヌケーキ上手くできなくて……形もだし……」
ピンク色の箱を手渡されると、ノワールは今にもリズを抱きしめたくなっていた。
「リズ、ありがとう!僕にチョコレーヌ?」
「うん。でも、上手くできなくて……」
「開けていい?」
小さく頷くリズ。ノワールがリボンを解いて、箱を開け中身を見て、ノワールが歓喜していた。
「ぼ、僕にこんな、こんな素敵なチョコレーヌケーキを?」
ノワールが箱を持ったまま、涙を流していた。
「味も保証出来ないから、その…やっぱり食べない方がいいかも」
箱を取り上げようとしたが、ノワールがさっと箱を取り上げた。
「そんな!リズの愛のこもった贈り物を食べないなんて僕には、できないよ!」
ギイとロイが、チラリと箱を見ると丸焦げの物体に目が止まり生唾をゴクッと飲み込んだ。
…絶対、食べたら腹壊すよな
…陛下あれを、食べるのか?!
フォークを持つノワールに、ロイが思わず口を開いた。
「ノワール国王陛下僭越ながら、毒味役をお呼びしますのでお待ちください」
「おい。ロイ、毒味役が必要なんだ?リズが、作ったチョコレーヌケーキを、毒味役になんかに、食べさせるなんて、俺が先に食べるに決まってるだろ!」
「お、お待ちください陛下!」
ロイの生死を振り切り、ケーキを口に運んだノワール。口がもぐもぐと動いていたのに、突然ノワールの手からフォークが床に落ちる音がすると、そのまま真後ろにノワールが倒れて、それはそれは、城中が大変な騒ぎになりました。
「は、花畑とリズが天使に……」
「陛下!!」
「あーあ。やっぱりな。リズの料理、壊滅的に不味いんだよ」
「シュゴおじちゃん食べたことあるの?」
「王妃様が昔に、クッキー焼いて味見してと言われて食べたら、砂糖と塩を、間違えて危うく俺も死ぬとこだったんだ。だから、侍女の間では、リズはキッチンには絶対入れてはならないって、ことになってたんだかな」
ノワールが目を覚ましたのは翌朝。リズがベッドに近づいて、目が真っ赤になっていた。
「ノワごめんなさい……」
「リズ、ずっと側にいてくれたの?」
「不味かったでしょうに」
「ち、違うよ。すっごく美味しくて、つい卒倒しちゃったんだよ」
「嘘!じゃあ、私が食べるわ!」
持ってたチョコレーヌケーキのお皿に、フォークを刺すとノワールが慌てて、リズの手を止めた。
「ノワの馬鹿!嘘つき!」
泣きながら部屋を飛び出す、リズにノワールが慌てて追いかけようとした時、誰かにゆり起こされた。
「ノワ?ノワ?」
「……リ、リズ?」
「随分、魘されてましたわよ」
「夢を、見ていたんだ」
「夢?」
ノワールがベッドから起き上がると、リズが箱をノワールに手渡した。
「今日は、バレンタインでしょ?ノワの好きなチョコレートケーキ作ったの!」
ノワールは、寝ぼけていた瞼が一気に覚醒すると、夢で見たチョコレーヌケーキが、目の前に。正夢かと、冷や汗が流れ落ちる。
「ノワ、チョコレーヌケーキ嫌いだったかしら?」
ノワールが、激しく首を横に振って答えた。
「いいや。嫌いじゃないよ!寝起きだし、お茶の時間にでも、ゆっくり、食べようかなって?」
慌ててガウンを羽織ると、部屋を出ようとしたノワールに、リズが手を掴んで引き止めると、いきなり口元にチョコレーヌケーキを、口に突っ込まれた。
「うぐっ……」
「美味しいかしら?」
もぐもぐと、目をつぶって口を動かすが、不味くない、苦くない、しょっぱくない。
……やっぱり夢だったか
ホッとしながらノワールがチョコレーヌケーキを飲み込んだ。
「リズ、すっごく美味しかった!ありがとう」
「よかったわ!」
ノワールが、リズを抱きしめた。リズが手を後ろにして、ミルティーにブイサインを送ると、シュゴやギイ、ロイ、が扉の向こうで二人を見て吹き出していたのでした。終わりー
♡Happy valentine リズ♡
※チョコレーヌケーキ誰が作ったのかは、謎のまま♡
番外編♡ミルキーじゃなく、ミルティーの間違え訂正しました。申し訳ないです( _ _)"
※沢山の閲覧ありがとうございます!作者びっくりしております。完結したお話なのに読みに来てくれる読者様に感謝のバレンタインデーになりました。ありがとうございます!




