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想いは光となりて

光と一緒に消えたメルは果たしてまた皆と再開できるのか?


「答えを聞こうか」


魔王カルロラを目の前にしても、メルは、迷いもなく答えた。


「お前を封印する方を選ぶわ!」


「ほう·····」


✧ ────城外───── ✧


「···城の扉が開かない·····メル!」


オルハートたちが、城の門を開けようと剣を振るい、キールが魔法で解除を試みるが、扉は開かないまま焦りが募る·····。メルの月の光の防御結界がオルハートたちを守ろうとしていた。


「オル!」


シュゴとロキシーが、息を切らして今の状況を、城の外にいるオルハートから理由を聞いて、どうにか結界を破ろうとしたその時·····


"パリンッ"!!


「結界が····」


キールの顔色がおかしいことに気づいた、ロキシーが城内へと、一目散に走り出しノワール国王陛下の寝室まで走ると、ロキシーが部屋の前で呆然と立ちつくす姿に、オルハートたちが続いて部屋の中に入って中を見ると


「メル!」


「ガハッ·····」


おびただしい量の血溜まりが、床に広がり宙ずりのままのメルの心臓に、カルロラの手が貫通していて、メルの苦しむ姿に、我を忘れ怒り任せに突っ込もうとするロキシーの後ろ襟を、シュゴが乱暴に掴み部屋の外にロキシーを投げ捨てた。


「一足遅かったようだな」


「·····まだ終わってはいないわ!お前を封印すると言ったでしょ·····」


メルの最後の力で、オルハートたちですら、見たことない眩い光が、城内を照らすとそれ以上踏み込めず目を閉じると同時に、カルロラの断末魔が部屋に響いた。


「·····ぐあああああっ!!(われ)が封印など·····くそぉぉぉ!」


邪悪な気配がピタリと止まり、床に倒れたメルの透けた体が、力無く倒れこんだ。オルハートが駆け寄りメルを抱き上げると、小さく微笑み呟いた。


「·····りが⋯⋯と·····」


そう言い残すと、白銀の光に包まれ、天へと上るように、メルの体は消えるとロキシーが、膝から崩れ落ち床に座り込み、その悲しみを押し殺すようにメルの名を、ロキシーは呼ぶのだった⋯⋯


✧ ───────── ✧



メルがいない世界は、空虚感の中でただ息をするだけの毎日。色のない世界は、灰色にしか見えなく、俺はただ目的もなく剣を握り修行を続けてきた5年でもあった。


「ロキシー副団長、失礼します!明日の討伐への出陣前の報告書になります!」


若手の近衛騎士が、ロキシーに報告書の書類を机に置くと、一礼し部屋を後にした。ロキシーは、椅子から立ち上がると、窓の外を見渡しながら、彼女を守れなかった悔しさが、何年経っても、心の中でずっと引っかったまま、グッと唇を噛み締めた。再び扉がノックされ、ロキシーは後ろを振り返った。


「忘れ物か?」


「いえ·····その、城門前でロキシー副団長にお会いしたいとのことですが、面会されますか?」


「面会?今日は、そんな予定は·····」


執務室の机の書類を手に取ると、今日の面会者はいなかった。ロキシーが、顔を上げて断ろうとした時、近衛騎士が付け加えた。


「その女性から言付けなんですが、私のこと忘れたら絶対に許さないからとかも、仰っているのですが·····」


ガタッと椅子からロキシーが立ち上がり、近衛騎士がビクッと体を硬直し固まっていると、そのままロキシーは執務室から走って城門へと向かって行った。


(まさか·····そんなはずは·····)


「ロキシーに会わせてって、言ってるでしょ!」


「お待ちください!城への許可がないと、中には入れませんので!」


近衛騎士2人に止められている女性の影を、遠目から見てロキシーの心臓が、強く高鳴るのを感じた。


「ロキシー!」


バッと近衛騎士2人の腕を振り払うと、淡い水色のドレスの裾を両手で掴んで、カツカツとヒールが音を奏でた。城の石畳を駆け上がってこちらに向かって来る彼女に、一瞬困惑し立ち止まるロキシー。手を振って、ロキシーの元に、走ってくる彼女は、慣れないヒールに足を取られ、地面に転びそうになった瞬間、無意識に自分の体が動いていた。


「メル!走ると危ないって·····」


以前にも言ったことがある、その台詞。パッと顔を上げ、彼女の笑顔を見て、ロキシーはメルだと気づいて強く抱き締めた。


「メル·····」


「うん!メルだよ。ただいま!ロキシー!」


空虚感と色のない世界が、一瞬で鮮やかに染まり懐かしい声と、メルの笑い声に涙が溢れて、抱きしめていた手が震えていた。


「おい、副団長が泣いていらっしゃる」


「あのロキシー副団長が?」


✧ ──────── ✧


「メル好きだ·····」


「うん!私もロキシーが好きだよー!オル兄様たちも!」


異性としての意味が伝わるのは、もう少し先だなと、ロキシーが、メルを見つめ笑みを零すと、オルハート、キール、シュゴたちが城門まで走ってきて、メルの帰りを待っていた皆が思ったのは、想いが光となりてまた、逢えたんだと、涙を零し皆でメルを抱きしめあうのでした⋯⋯



ーENDー

ご無沙汰してます。最終話となりましたが如何だったでしょうか?少し更新が止まってしまい、申し訳ありません。次回のお話でも、皆様の目に止まれるそんな小説にしたいなと思っていますので、応援、評価、ブックマーク登録よろしくお願いいたします(*ᵕ ᵕ)"

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