運命の日を迎えた朝
穏やかな朝を迎え、まるで何事も無かったようにシルフィー(メル)と一緒に紅茶を飲むキール。だか、時間は待ってはくれず、応接室へ向かう2人にキールが作戦を皆に伝えたのだった·····
カーテン越しに差し込んだ淡い光と、鳥のさえずりが遠くから間こえ、静けさが部屋を包む朝。キールはまどろみの中で目を開ける。瞬きを数度繰り返し、視線を巡らせると、シルフィーの姿がどこにもなく、名前を呼ぶキール。
「―― シルフィー?」
隣で眠っていたはずのシルフィーの姿が、そこにはなかった。 ー瞬にして眠気が吹き飛んだキールは、ベッドから飛び起きた。
「シルフィー! 」
鼻をくすぐるハーブテ ィーの香りが部屋中に広がる。キールは、素足のままベッドから下りると、手を伸ばしカーテンを開けた。ティーポットを手に微笑む、シルフィーの姿だった。
「キールお兄様、おはようございます。ハーブテイーを今、入れますね」
まるで、いつも通りの朝のように·····まだ夢の中なのか、それとも現実か····シルフィーの柔らかな声と、ティーカップから立ちのぼる湯気が、いつもの朝へと引き戻してくれていた。
「―― おはよう、シルフィー」
朝の挨拶をシルフィーにすると、キールはソファーに腰を下ろした。カップの中で、揺れる淡い琥珀色。メルとキールは、隣に並んで紅茶を嗜んでいると、ノックの音が響いた。
「キール様、メル様、おはようございます」
キールがソファーから立ち上がり、扉を開けると、そこには侍女が控えていた。朝の族拶と共に、メルたちに伝える。
「応接室にて、皆様がお集まりでございます」
案内人の侍女の後を、キールたちが静かに歩く。長い廊下には誰の姿もなく、ただ靴音だけが、石床に響いていた。メルの淡い銀の髪が揺れ、キールはその後ろ姿に目を落とす。
「シルフィー·····」
何も言わずとも、笑顔を私に、浮かべる妹の姿に、キールは、ぐっと喉が鳴る中、侍女が応接室の扉を開けると、オルハートが椅子から立ち上がり、作戦を伝えた。
「これで、全員揃ったな。作戦を皆に伝える、ロキシーとシュゴは、城の周辺に住んでいる、民の避難誘導を頼む」
「オルハート様、了解です」
「避難誘導が終わったら、すぐそっちに加勢に向かう」
ロキシーが領き、シュゴも拳を胸に打ち合てて答える。
「国王陛下の部屋に突入するのは、俺とキール、メル、師匠で、陛下の寝室へ向かう。キールと他、魔導士たちは、寝室の外で結界を張り、内部への侵食を防ぐと同時に、俺たちの援護魔法を」
言葉を切ったオルハートは、メルに目を向けた。
「魔王を封印して欲しい·····」
言葉に詰まる、オルハートに、メルは静かに領いた。
「オル兄様と、ノワール国王陛下は、必ず私が助けます」
その声には恐れはなく、揺るがないメルの強い気持ちの言葉に、皆の気持ちが一つになる中、キールとロキシーだけは、シルフィーの横顔を見つめながら、心の奥でそっと祈る。
(ーー シルフィーの命が、無事であらんことを·····)
(絶対に―― 死なせない·····)
作戦決行の時間となり、シュゴとロキシーと別れ、一行は、ノワール国王陛下の寝室へと進み始める。 運命の時は、すぐ目の前に迫っていた·····
少し短い小説となりましたが、次回もお楽しみに!
描写の表現不足、誤字脱字、漢字変換ミスなどまだまだございますが、生暖かい気持ちで読んでもらえると嬉しいです。
読書の皆様に作者からのお願いごとです。
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