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強い思いが剣の強さに

ロキシーの生まれた場所や生い立ち、そして剣を使うことを決めた一番の理由とは?


僕の名前は、ロキシー。貴族じゃないから、ロキシーしか名前がないんだ。僕の髪の色は、母さんと一緒の、赤毛のくせっ毛持ちで、鼻と頬にそばかすがあって、目も母さんに似て、くりっとした眼に、瞳の色は茶色なんだ。僕の産まれた場所は、明日の生活もままらないような、劣悪な環境の中で子供だろうと、関係なく働きに出ているような貧困の場所だった。


父さんは、僕が生まれてすぐ死んでしまった。母さんは身をこにして働いて、朝も昼も晩も寝る時間も、働いて生まれたばかりの僕を背負い、仕事をしていた。僕が5歳の時、母さんが仕事場で倒れてしまい、それから僕が働かなくては、生活すら出来なくなった。たった5歳で働けると言えば、靴磨きやマッチを売るくらいで、稼げてもパン1つ買えたらいい、賃金にしかならず、あの時ほどの空腹はなかった。


それから10年がすぎて、僕は15歳になった。なったけれど、母さんの体の調子が治らず、床に伏せって酷い咳もよくしていた。高い薬も、医者も呼ぶ高価なお金もない⋯⋯ただただ、その日を生きるお金しか手元になく、稼ぎ時の船が港に着く頃に、アリーと一緒に荷馬車を引いて行ったけど、三日分の給金を母さんの薬代にして、僕は何も食べずに、水だけで空腹を満たしていたせいか、街道を歩いてる際中に、草むらに倒れてしまった。


「お腹空いてるの?サンドウィッチあげる!」


うっすら眼を開けると、金色の長い髪に瞳の色は透き通った水色、僕に微笑んでる姿と食べ物を見て、天使か夢かと戸惑っていたんだ。貴族から食べ物やお金なんて貰えるはずがない、貧乏な僕たちには、高価な食べ物を貰う資格すらないんだと、伸ばしかけた手を地面に下ろすと、彼女の困った顔と、後から見に来た背の高い男の人たちが、僕に言ったんだ。


「お腹が空いてるなら、一緒に食べればいい」


「腹が減ってちゃ、元気にもならんしな」


こんな僕でも──⋯⋯こんな汚い格好の僕でも人として見てくれる、そんな人には出会わなかった。僕は何度も何度も、彼女や男の人たちに、お礼を言いながら食べるサンドウィッチの味と、暖かい言葉をずっとずっと忘れないって誓った日でもあるんだ。


✧─────────── ✧

それから、僕はオルハート様と、シュゴ様と、メル様のお手伝いがしたいと、頭を下げて、賃金を貰うためではなく、お返しをしたい気持ちでお願いをしたのに、ご飯は必ず食べていけと、母さんの分まで持たせると、シュゴ様に言われ、薬代や医者にかかるお金、必要な物は遠慮なく言いなさいと、オルハート様にも言われ、これじゃ、僕の恩返しじゃないと、思いながらも一生懸命、お手伝いをしたんだ。少しずつ母さんの病状も、和らいで来て本当によかったと思った。そんなある日⋯⋯朝メル様を起こしに部屋に入ると、彼女が大人の姿にびっくりしたのと同時に、あまりの美しさに、僕は彼女に恋をしてしまっていた。だけど、僕にはなんの力もない、守ってあげられる力もない。一日考えて、僕は決めたんだ。オルハート様とシュゴ様に剣の使い方、強くなる方法と弟子になりたいと、頭を下げて頼んだ。けど、最初は木剣すら持たせてもらえず、基礎体力を一ヶ月間続けれるなら、教えると言われ、それまで以上に早く起きて、母さんの看病をしてから、走り込みや足腰を鍛えたり、メル様がお昼寝している間、寝る前に必ず筋肉や足腰を鍛えるために、砂袋を抱えて走ったり。


✧─────────── ✧


「一ヶ月頑張ったな。今日から木剣を持つといい」


シュゴ様に木剣を渡され、柄を持つだけで、腕や足が震え木剣は、とても重く感じて、あんなに自主練習をしたのに、僕は、バランスを崩して地面に尻もちをついてしまった。


「こうやって、体の軸を真っ直ぐに保ちながら、毎日、毎日、素振りを繰り返すこと」


オルハート様から、木剣の扱い方や素振りの仕方を教えてもらうと毎日、欠かさずに木剣と足腰の鍛錬に、走り込み、腹筋を鍛えたりと僕なりに頑張った、二ヶ月だった。


「今日から好きに木剣を使い、俺に一撃でも当たれば弟子にしよう」


オルハート様に言われて、僕なりに立ち向かったが────全く歯が立たない。体にすら当たらない。悔しくて毎日、毎日オルハート様の隙を狙っては、剣を振り下ろすが僕は呆気なく、倒されて顔も体も痣だらけだった。


「くっそお!また負けた⋯⋯」


芝生に大の字で寝転び空を見上げるロキシー。


「ロキシー、大丈夫?お水と薬箱持って来たから座って」


痛む体を起こして、メルが傷口を消毒してくれたり、布を巻いてくれたり、冷たい水を飲ませてくれる。彼女の何気ない優しさにすら、僕の頬が赤くなる。


「ロキシー、メルのことよっぽど好きなんだな」


「あの必死さや悔しがり方、小さい頃の俺を見ているみたいだよ」


「ははっ!オルの必死さが懐かしいよな。母様を守る剣士に、僕はなる!ってよく、俺に何度、倒されても、毎朝の稽古で、一本取るんだとかな⋯⋯」


「昔の話をメルたちには、言うなよ」


恥ずかしいと、そっぽ向く癖は小さい頃から変わってないなと、シュゴが、オルハートの頭をワシワシと撫でていた。


「メル様、ありがとう」


「様って呼び方嫌いなの!それに私のが歳下だし、貴族じゃないから、メルって呼んで!」


「え、え、でも⋯⋯」


「ロキシー早く!」


「――メ、メル?」


「なあーに?」


僕の顔を覗き込むように笑う君は、本当に天使が舞い降り微笑む笑顔に見えた。だから、その笑顔を守るために僕は⋯⋯


──────────・・・・・・・・・


「メルを離せ!」


「ガキに、用はない!」


「ロキシー!」


泣いてる彼女を見た僕は、心臓が早く鼓動するのが分かった。怖い、足も手も震えるけど、今助けれるのは俺だけしかいない!腰に差した、柄を握り木剣を抜いて、男たちを睨んだ。


「ははっ!木剣なんか抜いて、どうした小僧」


「俺が、お前たちを倒してやる!」


「威勢のいいガキだな」


「さぁて、何時までもつかな?」


黒いフードの男二人が、剣を握ると一斉に、ロキシーに向かって剣を振り下ろした。ロキシーは目を瞑り深く息を吸って息を吐いた。そして、オルハート様やシュゴ様の剣技を、この目で見てきたのを、思い出し真似をするしかない。そう決心し、眼を開くとロキシーの声が夜道に、響き渡ると、黒いフードの男たちに、立ち向かって木剣を振るうロキシー。果たして、メルを助け出せるのか?

王の謁見は、少し物語が難しい内容になってしまったのかなと思ってる作者です。ロキシーの生い立ちや、剣を習いたいと決めた大きな理由を感じて頂けたらと、執筆させて頂きました。


次回は、『守るものの使命と、真の目覚め』を小説にしたいと思ってますので、お楽しみに!


誤字脱字、漢字変換ミスなどまだまだございますが、生暖かい気持ちで読んでもらえると嬉しいです。


読書の皆様に作者からのお願いごとです(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”


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