激昂する感情
自分の父と分かっても、素直になれないレオハート。
第13話始まります。
森での誕生日会は、母上はいつも通りの
笑顔と話し方だったけれど屋敷に戻った
その日の夜、僕はひっそりと母上の部屋を
見に行くとすすり泣く声を聞いた僕は
いいし慣れない怒りで奥歯をギリっと噛み締め
拳を握った。
「あいつが、母上を苦しめてるんだ。
もっともっと強くなっていつか
あの男を倒してやるんだ。」
レオハートは、母の泣く姿はこれで二度目。
1度目は、3歳の時一緒のベッドで眠ってる時
僕を抱きしめながら母上が、泣いていた。
なぜ泣いているのかは分からなかったが
絶対あの、森で見た男だと直感で分かってから
僕の中で母を苦しめる人は許せなくなっていた。
静かに泣く母上の姿を翌朝になってからも
どんなに時間が経ってもレオハート心には
怒りが治まらずシュゴの剣の稽古に熱を帯びていった。
誕生日の日から数日が過ぎ、あれから
母上の笑顔が少なくなる姿を見たレオハートが
街まで花を買いに行きたいと
シュゴに伝えると内緒で街へと、馬車で向かった。
「母上の好きなポミラの花と、ガーベルの花があればいいなあ。」
馬車に揺られ座りながら足をプラプラさせながら
外の景色を見ているレオハートを見てシュゴが
「左様でございますね。」
にこやかな会話をしながら馬車は街に
到着すると、シュゴの手を借り
レオハートが馬車からぴょんと飛び降りると
もうすぐ、星祭りがあるのか街の人達が
皆で、準備をしていた。
「ねえ、シュゴ母上様を星祭りに誘ったら喜ぶかな?」
ニコニコ笑いながらシュゴの手を握る
レオハートを顔を見ながら
「坊っちゃまからのお誘い、奥様嬉しいと思いますよ。」
「そうか?じゃあ、早く花を買って星祭りに誘って見るよ!」
レオハートの笑う姿が
父ノワール国王陛下に瓜二つに重なり
やや作り笑うような笑顔を
気付かれないように、シュゴは視線を逸らした。
(ノワール国王陛下と瓜二つ。写し絵のようだ。
笑うと尚、面影が。)
レオハートと花を買い帰りの馬車で
手に持つまだ小さな手には、綺麗な花束を
嬉しそうに抱えてるレオハートを見ながら
馬車は、屋敷へと向かった。
「坊っちゃま?」
「んん...。」
「屋敷に着きましたよ?」
シュゴが声をかけるとバッと体を起こして
馬車から飛び降り屋敷の扉が開いてるのを
見てレオハートは足早に階段を駆け上がった。
侍女達が母上の執務室前でオロオロしてるのが
見えたがレオハートは、お構い無しに扉を
バッと開けると、母上が泣いていて
母上の手を掴むそのおぞましい男の光景を目にした
途端レオハートの体中は、ゾワゾワと鳥肌が逆立ち
今見てる光景に小さい体から、殺気が溢れ出し
威圧するように目の前の敵を睨みながら
小さなソードベルトに差していた、剣のに柄に手をかけ花束は、手から落ちレオハートは叫びながら駆け出した。
「うわあああっ!!」
レオハートの叫び声が屋敷に響くと
馬車の片付けをしていたシュゴが騒ぎを
聞きつけると、2階まで全速力で走った。
「レオハート様!」
到着すると、レオハートがノワール国王陛下に
切りかかろうとしている光景と
手を掴まれ泣いているリズを見て勘違いをした
レオハートが激昂したんだと瞬時に悟り
シュゴがレオハートとノワール国王陛下の前に
立ちはだかると、ザクッと切れる音とポタポタと
赤い何かが剣から滴り落ち、侍女たちの悲鳴と
リズの叫び声が屋敷に響いた。
「ああっ...。」
カランとレオハートの手から剣が落ちる音がすると
足から崩れ落ちガタガタと体は震え
レオハートは自分の両手を見ると真っ赤な手を見て
泣き叫ぶレオハートの姿を見てリズが
駆け寄り強くレオハートを抱きしめた。
「なさい...。」
「ごめんなさい!!うわあああっ!」
初めて血を見るレオハートは、その光景と
怒り任せに自分では制御出来なかった感情で
傷付けては行けないシュゴを傷つけてしまった
後悔が入り交じって泣き叫ぶしかなかった。
「坊っちゃま、怪我は?」
そっとシュゴがレオハートの元に近付くと
レオハートは首を左右に降りながら
泣くだけで言葉にならずそのまま気を失った。
「侍医を、早く!早く!」
リズの声に、侍女と執事が慌ただしく走り
執事のロックがレオハートを抱き抱えると
部屋までリズと一緒に向かった。
程なくして、侍医が屋敷に到着しレオハートに
傷はなかったが、ショックが大きいため暫くは
安静にしてくださいと言われ、リズはホッと
胸を撫で下ろすと、応接室ではノワールと
手の平に包帯を巻いて立ってるシュゴを見て
リズが駆け寄るとシュゴの手を優しく包むと
「レオが、ごめんなさい...。」
小さくリズが声を漏らしながら涙を流す光景に
シュゴが慌ててリズに
「私のことはお気になさらないでください。国王陛下も、今回は目を瞑ると仰って頂いたので。」
ソッとリズの肩に手を置くシュゴを見ると
いつものシュゴの笑顔を見ると余計涙が溢れ
リズの視界がぼやけた。
「国王陛下、息子が多大なご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。処遇については、私が甘んじてお受けいたします。」
頭を下げるリズを見てノワールは
「嫌、いいんだ。リズも息子も何も悪くない。」
ソッとリズの手を掴むと、泣くリズの頭を
ノワールが優しく包みながら胸に抱き寄せると
リズは小さく嗚咽し、屋敷に小さく響いた夜だった。
翌朝、レオハートが目を覚ますとベッドの隣で
母上が一緒に眠ってるのを見て飛び起きると
部屋の扉がノックされ、母上が目を覚ました。
「レオ?目が覚めたのね?よかった...本当によかった...。」
ギュッと強く抱きしめられ息も吸えないほど
母上に抱きしめられるとレオハートが
「母上、ごめんなさい...。ごめんなさい!」
謝るレオハートに母上は何も言わずに
抱きしめたままでいると後ろから
「奥様、坊っちゃまが窒息しますよ。」
シュゴがカートを押し部屋のテーブルの
前で紅茶ポットを持ち上げカップに注ぐ音がするとレオハートがリズの手からすり抜け出して
ベッドから飛び降りた。
チラッとシュゴの手を見ると
シュゴの手の平には包帯が巻いてて
ギュッとレオハートがパジャマの裾を
両手で握りしめた。
「坊っちゃま、おはようございます。」
いつもと変わらないシュゴの姿にノワールが
小さく震えながらシュゴに
「シュゴ!ごめんなさい!ごめんなさい…
シュゴのこと...傷付けてごぇんなさぁい!!」
大粒の涙を流しながら謝る姿を見て
優しくレオハートの頭を抱き寄せると
泣き方がリズそっくりだなと小さく笑いながら
「坊っちゃま、こんな怪我すぐ治ります。怪我の内にもならないくらい、擦り傷ですから。」
「嘘だ!あんなに、あんなに血が、血が…ひっく…いっぱい、いっぱい...僕のせいで...。」
泣きじゃくるレオハートの頭を離すと
膝をついたシュゴがレオハートの目線で話をした。
「では、次からは、どんな理由があっても
感情任せに誰かを傷付けては、いけません。
騎士になるなら、感情がやがて己の弱みなります。
今回は、坊っちゃまや国王陛下が傷つかなかったのが、幸いでしたが、万が一坊っちゃまや、陛下が傷がついたら私は、護衛として悲しいですから。」
鼻水を垂らしながら、レオハートは頷いて
両腕で涙を脱ぐう姿に柔らかくシュゴが微笑むと
「さ、坊っちゃま朝の準備が出来ましたら
朝の稽古に、行きますか?」
「うん!いぐ!!」
レオハートの頭を優しくポンッと手を置くと
シュゴが胸ポケットから真っ白なハンカチを
取り出し、レオハートの涙を優しく拭いた。
朝の稽古の時はいつものレオハートに戻った
姿を見て、リズはよかったと小さく呟き
シュゴと目が合った時、リズは優しく笑うと
シュゴも優しく笑い返した。
「国王陛下、昨日はごめんなさい...。」
不貞腐れ気味に謝るレオハートを見て
従僕のロイとギイは、必死に笑いをこらえていた。
ノワール国王陛下に瓜二つすぎて笑いを必死に
堪えてると、ノワールの咳払いを聞くとサッと
2人は手を後ろに組んで視線を逸らした。
「うむ。謝罪しかと受け入れたぞ。して、我が息子よ、名は?」
「レオハート。」
「そうか、レオハートか。長らくそなたの母とレオハートを2人きりにしてしまい、寂しい思いをさせて、すまなかった。」
レオハートに膝をついて謝る姿にリズが
慌てて止めようとしたが、ノワールがスッと
手を出してリズを止めた。
「いいよ。でも全部許すのと父上と呼ぶのは駄目だからな!まだ、お前を父上とは認めないからな!」
レオハートがべッと、舌を出し
ノワールに吐き捨てると部屋を飛び出す姿に
我慢ができず、ロイとギイが吹き出して
お腹を抱えて笑ってる姿にノワールの殺気が
2人ち伝わり、小さくヒッと声がした。
「あー、俺、嫌われたかな?」
「どうでしょうね?」
「リズまで...。」
シュンっとソファーに腰を下ろしながら
項垂れるノワールを見て、リズもクスッと笑った。
「時間はまだありますわ。ゆっくり今から親子としての絆を深めればいいのでは?」
「そうだな、そうだよな!よしっ、じゃあ今日から暫くここに住む!」
「「「はあ!???」」」
リズ、ロイとギイの声が重なると
相変わらず唐突すぎるノワール発言に皆が、頭を抱えた。
「絶対、父上なんて呼ぶもんか!」
自室のベッドにダイブし枕に顔を埋めながら
足をバタバタするレオハートを見たシュゴが
「坊っちゃま、ノワール国王陛下は
私より、剣技がお強いんですよ?」
「シュゴより?」
ガバッとベッドから起き上がると目がキラキラ
輝いてシュゴを見つめるレオハート。
「ええ、私より強いですよ?
国王陛下に剣の稽古お願いしてみるのはいかがでしょうか?」
「駄目だ!駄目!母上を泣かせた件、僕はまだ許せないし、今更、父上だなんて…。」
もごもごと、口を尖らせながら俯くレオハートを
見て素直になれないのも、2人にそっくりだなと
見つめるシュゴなのでした。
2月も始まり、なかなか小説の更新が出来ず
申し訳ありませんでした。
ゆっくりになりますがお待ちいただけたら
幸いです(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”




