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第五十八話 旦那様以外にしたくありませんでした

初投稿から一年が経ちました。

今後もよろしくお願いします!

 鋏が三つ跳んでくる予感がありました。自分自身の直感が冴えた感覚を覚えます。


「目障りだと……小娘が囀る」


 言葉と同時に投げられる鋏、事前に分かっていれば対処は容易です。剣の側面で受けて地面に向けて軌道を逸らします。


(使い方はこう?)


 私の魔力が剣に伝って刀身が淡く光ります。キャンサール皇子からお嬢様達を護ろうとした時を思い出します。


「繰り返して言います。貴方が誰かは存じませんが目障りなんです。退いてください」


 貴方が私の命を狙っていても私は貴方の命に興味はありません。退いてくれればそれが一番良いのです。

でも、男性の答えは否でした。視認できる程に魔力が膨れ上がっていました。

黒色の闇属性の魔力……あ、思い出しました。


「名乗っていなかったな。私は天栄 貴人、偉大なる竜の血を継ぐ者だ」


 名乗りを聞く余裕はありませんでした。地面から刃物が飛び出てきたからです。

大体四十五度の角度で長さは三メートルにも満たなかったので後方へ素早く退いて避けます。避けた先にも刃物が生えるように飛んでくるのですかさず慌てず避けます。五回繰り返すと攻撃は止みました。傷一つなく避けられましたが嫌な汗が頬に伝います。

今の攻撃は私に向かってでしたが、周囲に向けられれば私に止める術はありません。

最悪の想定が頭によぎったから事前に止める方法を考えます。

……方法が一つありました。ですがはっきり言ってやりたくありません。


「ほう、意外にやるっ」


 思考しながら距離を詰めて剣を振ります。振るというよりも振り回すに近い動きですが意外にも効果的でした。

どうやら私の方が力は優っているようで男性の方(名前は覚えていません)が押されているのです。

このまま押し切れれば最良です。もし無理なら……


「本当に、退いてくださいっ!!」

「お前が死ねば退いてもいいんだぞ。死なぬのなら」


 直感は最悪を予感させました。決断は即座にします。


「なにっ!?」


 驚くのは男性です。何故なら私が剣を放り投げたからです。この状態で武器を手放すのは自殺行為なのは私自身も分かっています。

だけど剣を持っていては出来ないのです。

覚悟は済ましました。傷付くことは恐れていませんが……これは正直嫌ですね。旦那様、申し訳ありません。

 勢いよく遮二無二に行動を起こします。前方に思い切り飛び出して……男性に向かって飛び掛かります。そして、抱きしめます。

旦那様以外(お嬢様と双子ちゃんは別)にするつもりはない事です。


「っ!? 私にそんな趣味はないぞ」

「わ、私だって嫌に決まってますっ!!!」


 心の底からの叫び声をあげます。でも、こうするのが最善なのです。男性の方も私の狙いに気付いたようです。


「貴様、私の魔力を」

「闇属性の魔力なら打ち消せます」


 反発する属性の魔力を直に当てれば打ち消すことができる。戦いの中で思い出した知識です。


「しかし、甘いな」

「え……」


 最初に感じたのは違和感、そしてすぐに熱を持った激しい痛みに変わりました。痛みの正体は男性の身体から生えた銀色の刃物……鋏の刃でした。


「貴様に言っても仕方ないが私は万物融合型だ。戦闘能力が違うということだ」


 生えた刃物は長く太く勢いよく伸びて貫かれながら私は弾かれました。

全身に激痛と熱が走り死を予感させられました。地面に叩きつけられ大量の血を流して身体はズタボロになっても私は生きています。

死にかけて頭に浮かぶのは大切な人達との思い出ではなく、勝利への道筋でした。つまりは私は生きるために勝ちたいのです。


「仮にも吸血鬼か、無駄に生命力が高い」

「ぁ、うっ、魔力は、封じて、ます。闇属性は感じ、ません」


 嫌々抱き付いた事にも意味はありました。


「それがどうした。お前は私の為に死ぬ」

「いいえ、死にません。仮に死ぬのなら愛する人の為に死にます」


 男性が驚愕の表情をします。死にかけの筈の私が素早く動いたからです。致命傷を受けた筈なのに傷は塞がっていたのです。恐るべき吸血鬼の再生力です。


(旦那様が仰ってましたが、魔力の攻撃は再生力を阻害する筈です。でも阻害されていません。つまり、あの人は魔力による攻撃は殆ど使えない)


 身体から刃物を生やした原理は分かりませんが警戒すれば簡単に避けられます。


「……あれ? もしかして貴方はそんなに強くない?」

「な、小娘がぁぁぁぁぁーー!!


 挑発する意図は無かったのですが呟いた一言に男性は異常に反応します。だから乗る事にします。いえ、乗せることにしました。


「だったら私を倒して証明してください」


 勿論、負けるつもりは毛頭ありません。男性が私にだけ攻撃してくれた方が都合が良かったのです。

案の定、刃を伸ばして私を貫こうとしますが側面を力強く蹴って砕きます。


「っ」


 刃を砕いた時に男性が一瞬苦しそうにしていたのを見逃しませんでした。

万物融合型と言っていましたが、もしかして武器と融合しているから神経や魔力が繋がっている? だから、武器の方にダメージが入ると本体にフィードバックされる?

仮説ですが可能性は高そうです。試す価値があるならやってみます。

 

「っ、えい」


 迫ってくる刃を蹴るのではなく手で触れました。一瞬でしたが十分です。私の手から伝う光属性の魔力が刃をボロボロに崩れました。


「っ、貴様、如きに、遅れを……」


 男性はそういうと倒れます。辛勝でしたが私としては上出来です。

男性を拘束して……時の停滞も終わるので血に濡れた制服をどうするかと呑気な考えをしていました。

戦い慣れていないから油断がありました。


「はい。捕捉」

「え……」


 少年の声が聞こえた後、私の意識は途絶えます。

いつも最後まで読んでくださりありがとうございます。

次回は水曜日の18時〜20時の更新になります。

また、不定期に過去の話の修正と加筆を行う予定です。


誤字脱字報告や感想、評価などいただければ今後の励みになりますのでどうかよろしくお願いいたします。

また、ここが分からないやここがおかしいなどの疑問もあれば気軽に質問ください。

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