第四十九話 聞き逃しませんし見逃しません
家に帰るとリロードさん……旦那様と今日の事を話し合います。
「ここは真面目そうに見えるので眼鏡をかけましょうか?」
「その発言が真面目ではないな」
当然ですが冗談で言っています。ただ旦那様が眼鏡をかけた方が良いと言ったなら眼鏡をかけるのもやぶさかでは有りません。
ついでに私は視力は良いので眼鏡は必要無いのでお洒落目的でした。も旦那様は眼鏡好きではないので断念します。
「では目下の問題からですね。私と旦那様が既に転入していた件ですね。でも櫻子さんと朝霧さん、シェーヌさんと大淀さんは違いました」
朝霧さんに旦那様が事情を説明した後、シェーヌさんと大淀さんが部室に来たので確認しました。
「違うのは私達と距離が近いからでしょうか? 物理的というよりも関係性という意味ですけど」
「記憶の操作をしたのがイエルテェと仮定しておく。憶測に過ぎないがシェーヌ達は元々記憶操作の対象外だったからだ」
旦那様は紙にペンでサラサラと書いていきます。
「元はソニアの蒔いた種であったが、今となってはイエルテェの遊戯に組み込まれている。
イエルテェは何千何万の計画を用意していた。その中の有力だったのが私がこの世界に来る事で動き始める計画だ」
その他の例を旦那様は紙に書いて見せてくれました。そこには大国間で戦争が起きる。紛争に介入する。宗教分裂が起きる。転生者の数が三桁を超える。現代の勇者が誕生する。テアトル大将が風邪を引く。
……よく分からないものもありますが世界が混乱すれば動くみたいです。
「実際のところはディエレーズの存在で好き勝手出来ないだろう。現実としてあり得たのがこの世界に私が来ることと……」
「ん? どうしました?」
「これは言わなくてもいいか……」
「いえ、気になるから教えてください」
言いかけた時に私を見ていたので余計に気になってしまいます。
「フロマージュとアイリッシュに弟が妹ができた場合だ」
「へ、えーとつまり……」
「お前が私との間に子供を孕ったらイエルテェは此方にちょっかいをかけてくると踏んでいた」
「成る程、だからあの子達の弟、妹が居なかったのですね」
「スエレ?」
何故か旦那様が珍しく困惑していました。
「私と旦那様はとても仲の良い夫婦、いえ正確にはラブラブだったと思います」
「スエレ……」
「だからあの子達の下の子がいないのがおかしいと思いました。勿論、あの子達がもう少し大きくなったらとかお嬢様のお世話があることもありましたけど……色んな要素を差し引いて考えるとそういうことだったんですね」
「………………………………………………そうだな」
長い間があるのが気になりますが旦那様は肯定しました。
「違うんですか?」
「大きな理由はフロマージュとアイリッシュが難産だったからだ」
「あ、すみません。忘れてしまっていたのですが、そうであっても念頭に入れておくべきことでした」
二人だけでいた事で熱に浮かされていました。思慮が浅くなっていた事を猛省します。
「別に構わない。お前の記憶を消した日の前日に話をしていた」
「話ですか?」
「そろそろと言った」
「どちらからです!?」
今日一番な聞き逃してはいけない言葉でした。
それは私からですか? 私からなら納得感とはしたなさを覚えて少し恥ずかしく思ってしまいます。
旦那様からなら嬉しいですね。
「この話はもういい。これ以上の干渉があれば対応を考えるが現状のままであれば気にする必要はない」
話を打ち切ってしまいました。でも私は旦那様がほんの少しだけ赤くなっていた事を私は見逃しませんでした。
いつも最後まで読んでくださりありがとうございます。
次回は水曜日の18時〜20時の更新になります。
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