第三十九話 そして主役と魔女は邂逅する
後半は三人称視点になります
「戻りました」
「お帰りなさい。あら紅月さんもいるのね」
生徒会室に戻った私達をシェーヌさんが和やかな笑みを浮かべています。恐らく櫻子さんと仲良くなった事を嬉しく思ってくれたのでしょつ。
大淀さんはいますがソニア様の姿が見えません。
「さ、櫻子君……」
「こんにちはです。副会長」
分かりやすいくらいに言葉を詰めらせている大淀さんです。一方で櫻子さんは普通でした。
あの、これはもしかして……
「脈なしよ」
シェーヌさんが私にだけ聴こえるように耳打ちしてくれました。
とても残酷な話でした。大淀さんは櫻子さんを愛していますが櫻子さんはそうではなかったのです。
やはり櫻子さんはあの写真の男性が好きなのでしょうか?
「ところでリロ君は何処に行ったの?」
「えーと、別れてしまって」
聞きようによって破局したみたいになってますが勿論そんな事はありません。
……だ、リロードさんは辛そうでしたが大丈夫でしょうか? 信頼はしていても少し心配になってきました。
「スエレさんの婚約者の方でしたね。私と会って気分を悪くされてましたから、何か私の方に不手際があったのでしょうか?」
「いえ、そんなことは」
「ないよっ! 櫻子君のせいでは断じてないよ。ついでに彼は夕霧君に会いに行ったよ」
夕霧君……夕霧 緑さんのことですね。櫻子さんと一緒に写真に写っていた男性の筈です。
「緑君に会いに行ったのですか。でもどうしてでしょうか? 緑くんのお友達だったりするのでしょうか。もしそうであれば私もご挨拶をしなければ」
姉のような保護者のような櫻子さんでした。櫻子さんは夕霧さんのことを好きだと思います。
ただ好きは好きでも親愛に近い感情で恋愛的な意味ではないかもしれません。
大淀さんも同じ認識なのか複雑な表情を浮かべています。付け入る隙があると思うと同時に難しいと自覚しているようでした。
「多分だけど挨拶に行ったのよ。郷土研究同好会に入るためにね」
「!……それは喜ばしいです。私達も三年性で今年が最後の活動になります。だから一人でも多く一緒に活動できる仲間が欲しかったんです」
元気に満ちた表情で感激している櫻子さんです。
「そうね。リロ君以外にスエレさんも参加するから過去一番で盛り上がるわね」
「二人加われば、六人になるので快挙ですね。同好会ではなく部活動になります」
「櫻子君が楽しそうで何よりだ」
大淀と別れたリロードは校舎の最奥の渡り廊下にいた。進んだ先に戦前に校舎として利用されていた旧校舎があった。
旧校舎二階の右奥に目的の人物がいた。中肉中背で平凡と平均という言葉が常にある少年だった。
「誰だ!?」
「お前が夕霧 緑だな。私は……魔女だ」
自己紹介としては劣悪であった。事情を知らぬ者からすれば相互理解を放棄したふざけた紹介の言葉だろう。
緑は目を開き呆気に取られたのだが、リロードに向き直る。
その目は言葉を信じていない者とは違っていた。
「お前が……魔女だったのか」
緑は待っていた。そして彼と櫻子の故郷に伝わる伝承の存在に出会ったのだ。
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