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 そんなふうに、少しだけ暗い気持ちになって──いたら。


「──ん?」


 いつの間にか自分に影が落ちていた。視線を上げると目の前に、こちらを覗き込むような青紫の瞳が間近にあった。

 グステルは盛大にギョッと目を瞠る。と、その紫陽花のような瞳の持ち主は、心配そうに言った。


「大丈夫ですか? どうかなさいましたか?」

「……ち……近いです、お坊ちゃま…………」


 思い切りのいいパーソナルスペースへの食い込み……。

 咄嗟に驚いてしまったグステルではあったが、しかし、そこは年の功。

 なんとか慌てず突っ込むと、ヘルムートは「おや、すみませんつい……」と一歩後ろに下がる。


「急に黙り込んでしまわれたので、どうなさったのかと……」

「あ──ああ……」


 どうやら案じてくれていたらしいとわかって。グステルは、大丈夫ですと彼を見上げる。


「すみません、ちょっと……考え事をしていました……」


 そう言って苦笑すると、青年はホッとしたように優しい目になった。


「そうですか、よかった。……それで……話し合いとは何についてでしょう?」

「……」


 その問いかけに、グステルは一瞬言葉が出なかった。

 驚かされたせいか、咄嗟に言おうと思っていたことを忘れてしまっていた。

 心臓が、やけに大きな音を立てている。先ほど美しいビーズを見せられた時よりもはるかに激しく鳴る音に、グステルは困惑する。


(……、……、これはまさか……、……不整脈……⁉︎)


 恋より先に──健康不安が先立つ悲しいお年頃(※十九歳+前世年齢)、転生者グステル。



お読みいただきありがとうございます。


うっかり37エピソードの続きを飛ばしていたので38として追加し、38として更新していた分を『39ラーラ・ハンナバルト①』として投稿し直しましたm(_ _)m



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[一言] 不整脈www
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