新たな仲間達(4)
時が経ち、かえでと小太郎はその場で寝入った。遼河もこっくり、こっくりと船を漕いでいる。そんな中、三人はまだ話し込んでいた。
「この子はどう言う子なんだい。」
「さっきも言った・・相模で拾った子だ。
親と離れて食うや食わずやだったんだろう、その時はがりがりに痩せていた。
俺は自分の幼かった頃の事を思い出したよ。
俺もこんなだった・・それを色んな人達が助けてくれた。
俺はこいつに自分の姿を映し、不憫になった。
その時のこいつは今のかえでより幼かった。」
「いくつだったんだい。」
「三つ・・ああ・・四つになったばかりだったかな。」
「何年生まれですか。」
「享徳二年だと本人は言っていた。」
「三つ、四つの子がそんな事を・・・」
「違う、違う・・こいつに訊いたら指を四本差しだした・・そこから俺が逆算したんだよ。」
兵衛と巴が頷いた。
「俺はこいつを連れて行こうと決めた。
昔、俺が救われたようにな・・・そしてこいつはよく働いた。
ある時は鬼に苦しめられた村を探し出し、ある時は鬼の動向を探ってくれた。」
「四歳の童にそんな事をさせたのか。」
「俺はそんな事は望んでなかった。
だがこいつは手を差し延べたのを恩義に感じていたのかも知れない。
とにかくよく働いてくれた。」
紅蓮坊は自分の膝で眠る小太郎をじっと眺めた。
「子等も寝た。今晩はこれくらいにしようじゃ無いか。
明日また話し合おう。」
兵衛が散会を促した。
その声に紅蓮坊は他愛なく眠る小太郎を片手で抱き上げ、巴が抱え上げたかえでに背を向けた。
「あんた、宿屋を引き払ったと聞いたが、今は何処に・・・」
その背にかえでを乗せながら、巴は紅蓮坊に尋ねた。
「破れ寺の屋根の下だよ。
この頭が役立ってな・・信者みたいなのも何人か居る。」
紅蓮坊は坊主頭を小太郎を抱いた肘で撫でて笑った。
「遼河は拙者が負って行こう。」
兵衛も同じ様に背を差しだした。
「これからの俺達どうなるんだろうなぁ・・・」
巴の間借り農家に向かう道筋、紅蓮坊がふと漏らした。
「今の任務をこなすだけでしょう。
その先に何かが見えるかも知れない。」
「さすがは元役人の答えだな。」
紅蓮坊は寂しげに言った。
「鬼との戦いを考えると、私達じゃぁないかもね。」
「どう言うことだ。」
珍しく紅蓮坊の声は静かだった。
「この子達かも知れない。
遼河、かえで、それに今日会った小平次。
あんたの相棒、小太郎もそうだよ。
皆、異能を持っている。
私達はこの子達が働けるように橋渡しする者かも知れない。」
「前村兵部ノ丞や晴海和尚は・・・」
「論外でしょう。
自身の栄達しか考えていない。
いずれは淘汰されるのではないかと、私は考えています。」
兵衛が人に聞こえぬようひそと言った。
「今日会った槇野繁信と言う男は信用できると思うか・・それに境源三も・・・」
「どうなんだろうね・・」
巴はまだ解らないというように小首を傾げた。
そうやって話しているうちに巴が住む農家に着いた。
農家の主は初めて見る紅蓮坊の魁偉な姿に驚きの表情を見せたが、そんな事も気にせず、巴に指図されるがままに、紅蓮坊は屋根裏部屋に遼河とかえでを運んだ。
その間、兵衛はその家の主に丁寧に頭を下げていた。




