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新たな仲間達

 晴海達は京に帰った。

 その還り道、晴海はかえでを荷車から追いだし、そこを独り占めしていた。

 紅蓮坊の肩の上でかえでは喜んでいたが、雉を除く他の者達は、いい顔はしていなかった。

 京に帰り着くと、晴海は雉と兵衛を伴って御所に報告に向かった。

 巴と紅蓮坊、それに遼河とかえでは役から解放された。

 「今晩、どうだい・・私と一緒に夕餉を取らないか。」

 御所からの還り道、巴が紅蓮坊を誘った。

 「珍しいな、お前からとは・・・」

 紅蓮坊は猜疑の目を向けたが、それでも嬉しそうに肯定の返事をした。

 「実はないんだよ。」

 これが・・と巴は親指と人差し指で輪を作って見せた。

 「お前独りの金であれだけの物を造ったのか。」

 紅蓮坊は自分達の装備を考え、呆れたように言い、巴がそれに頷いた。

 「俺の手元には金七が残っている。

 これを・・」

 「それは貰えん。あんたが持っていてくれ。」

 「お前、金が無くて月の物の手当てとかはどうするんだ。」

 馬鹿・・・巴は顔を赤らめ手を振り上げた。

 その手が誰かに握り止められた。

 「馬鹿、馬鹿と言って、男の頭を(はた)くものじゃあないよ。」

 止めた手の主は兵衛だった。

 「どうだった。」

 巴と紅蓮坊は異口同音に訊いた。


 花の御所にあがった晴海は将軍義政を前に、兵衛に聞いた千ヶ峰の鬼退治の顛末の話をした。

 「そうか、それ程の鬼を斃したか。」

 晴海の話しは多分に誇張され、その話しの中には自身の活躍を含まれていた。

 それを聞きながら兵衛は苦い顔をしていた。

 「褒美を取らそう。」

 義政はそう言い、側に仕える小姓に硯と紙を持ってこさせた。

 「晴海、お前の隊には金五十を与える。

 それにそれぞれに金五の特別手当てを与え、その方には金十を与える。」

 義政の声に晴海は平伏した。

 「お願いがございます。」

 兵衛は面を犯して声を掛けた。

 「渡辺遼河という者・・若年ではありながらその活躍は大。その者の給金も我等と同じ様に・・・」

 兵衛は畳に頭をこすりつけた。


 「で、どうなったんだ。」

 紅蓮坊が興味深げに尋ねた。

 「遼河の給金は金十になった。

 年明けからはそれが貰える。」

 やったな・・紅蓮坊は盛大に兵衛の背を叩いた。

 その勢いに、兵衛は酒に噎せながら言う。

 「その金、全て巴殿に預けないか。」

 兵衛は静かに杯を口に運ぶ巴に眼をやった。

 「自分達の生活の分は差し引き、残った金全てを巴殿が管理する。

 今回は少々使い方が荒かったようだが、男共が持つより堅実だ。」

 そう言われて、巴はそっと顔を赤らめた。

 「実は・・・」

 巴の声は蚊の鳴くように小さい。

 「あなたにもあるんですよ。」

 巴は自分の懐から一本の鉢巻きを取りだした。それは遼河の物とは違い、中央が太くなっていて、そこには遼河のと同じ様に鉄が張ってあった。

 「この程度しか・・・」

 巴の声が益々小さくなった。

 「かたじけない・・これがあれば拙者も安心して鬼に対峙できる。」

 「もっと良い物を造りたかったのですが・・思いつかず・・・」

 巴はそっと顔を赤らめ、紅蓮坊はその顔から眼を逸らした。


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