剣豪公家(9)
三日後、花の御所から呼び出しがあった。
殿上には義政が座り、次の間には晴海、教貫、経衡が座った。
「経衡殿。」
まず公家の名が呼ばれた。
「宣胤公からも推挙があった。
そなたの意見、聞き届けよう。」
経衡は鷹揚に頷いた。
「三隊と聞いたがそれを率いる者は。」
「一隊は麻呂、二隊目はあの日内裏に駆けつけた奥村左内殿。」
と、そこで言葉を止めた。
「三隊目は。」
義政が促した。
「三隊目の隊長はおじゃらぬ。
奥村左内と共に駆けつけた国立京ノ介なる者に声を掛けたが・・まだ修行中と言うことで断られ申した。
何でも御庭廻組に入って腕を磨きたいとか・・」
そう言って経衡は笑った。
「では差し上げる金は・・・」
その言葉を経衡は手で止めた。
「僧兵は雇い込んでおります。
変わらず・・・」
経衡はまたも笑い、義政は苦い顔をした。
「上様・・如何でございましょう。」
今度は教貫が声を上げた。
「その国立京ノ介なる者、御庭廻組が望みであれば、村田善六の隊に入れては・・
彼の隊は大井彦正を京見廻組に放出しており、隊員が減っております。
経衡様が望むほどな腕であればその補充に如何でしょうか。
さすれば上様の守りも厚うなりまする。」
義政はその言葉に相好を崩した。
「ところで晴海。」
義政は今度は晴海に呼びかけた。
「人が集まって居らんのう。」
あたかも晴海が怠けているように義政は言い、晴海は深く俯いた。
「皆が口を揃えて鬼を討てる者が足りんと言って居る。
その方どう考えて居るかの。」
晴海は耳まで真っ赤にして畳に額をこすりつけた。
「播磨・・備前辺りまで行ってみてはどうか・・・因幡でも良いぞ。」
所払いか・・・晴海は強く唇を噛んだ。
「誰か見つければ、その度に戻ってくるが良い。」
晴海は平伏したまま・・はい・・と答え、翌日から旅の支度を始めた。




