剣豪公家(7)
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将軍の広い書院。その下の部屋に三人が座った。
両脇の晴海と教貫は平伏していたが、真ん中に座る中御門経衡は傲然と顔を上げていた。
義政はその態度に苛立ちを憶えたが、先の従一位、権大納言中御門明豊の息子・・兄は正四位上、現在蔵人頭として幕府との交渉役宣胤・・無下にするわけにもいかない。
「そなた、官職には・・・」
「官職・・そんなものおじゃらぬ。」
「では何故ここに居る。」
義政は咎めるように言った。
「そこでおじゃる。
麻呂もそろそろ仕事が欲しくなった。
それだけのことでおじゃる。」
「仕事・・・」
義政は顕わに嫌な顔をした。
「そうでおじゃる。
麻呂は内裏にて鬼を斃した。
お上を護るため麻呂を雇わぬか。
内裏を護るため麻呂を雇えば、お上の印象もあがろうて。」
義政は考え込んだ。
将軍職に就いて以来、自身は側近や側室、母親に実権を握られ、今は遊興に現を抜かしている。数年前には内裏の改修を行い朝廷への受けは良いはず・・ここでもう一つ・・・
遂に義政は首を縦に振った。
「では、俸給でおじゃるな。」
その声に義政は又嫌な顔をした。
「なに・・高額ではおじゃらぬ。」
経衡は畳み掛けた。
「僧兵共には年に金五で充分。麻呂は三十を貰う・・これで百。
組頭には金二十・・・これでどうじゃの。」
今の御庭廻隊と同じ・・隊員に対しては今より少ない・・・義政は渋々頷いた。
「但し我が組はもう一隊持つ。
その隊の俸給も宜しくお願い申す。」
経衡はにやりと笑った。
二十一名とすると年百五の金、それを治めるものに二十・・・合わせると百七十を超す。
「まあ二百ですかな・・年間に・・・」
経衡はまた笑った。
二百・・・それをどう捻出する。
義政はまた悩んだ。
「内裏の護衛費・・それで宜しいんじゃないですかな。」
沈黙する義政に経衡が畳み掛ける。
「それで、朝廷の憶えも目出度く、公家達にも感謝され、貴方の交際範囲も拡がろうというもの・・・どうでおじゃるの。」
その言葉に義政は決心を固めた。




