剣豪公家(4)
「一つずつ聞こう・・
まずは京見廻組。」
教貫は安藤宗重を見た。
「拙者は赤鬼を斃しました。」
自慢げに宗重が言った。
「お前の手柄を聞いておるのではない。」
教貫は厳しく言った。
「その方が率いる京見廻組の動きを聞いておる。」
「拙者は組全員を連れて鬼退治に向かいました。」
宗重は鼻白んだ様に言葉を続けた。
「その中から三番隊隊長奥村左内は私の命を無視して内裏に向かいました。」
宗重は詰るように左内を見た。
「その話しは追って麻呂が致しましょ。」
中御門経衡が宗重の言葉を遮った。
「残る四隊を指揮していましたが、我が隊の強さに恐れをなしたのか、鬼は街の外に向かいました。」
ここでも宗重は自慢げであった。
「四番隊、五番隊それに二番隊の一部はその鬼共を追い、拙者は赤鬼を斃した後、御所の危急を思いここに駆けつけました。」
あくまでも宗重は自身の手柄を誇った。
「城ノ介はどうしておった。」
「あの者も数多くの鬼を斃しておりました・・確か青鬼も屠ったかと・・・」
「ここにはいないようだが。」
「あの者の性格でしょう。
華々しい席は嫌いと見えます。」
教貫は頷き、
「他の隊はどうしていた。」
と尋ねた。
そこは・・・と宗重は口ごもった。
「どうしたのだ。」
「かってに動きました故・・・」
「私達は二番隊隊長大井彦正殿に率いられ、鬼の後を追いました。」
宗重にとって救いの声であったが、
「何故、儂の命令を無視して逃げる鬼の後などを追った。」
宗重は叱責するように言った。
「鬼は逃げたのではありません。
その先にはそこに居られる紅蓮坊殿、巴殿が居られました。」
そこに行った者達は一斉に頷いたが、その内の何人かが・・あの子は・・・と口にした。
「子・・・」
教貫はその声を聞き咎めた。
「紅蓮坊殿、巴殿と一緒に戦っていた男の子です。」
「遼河か。」
紅蓮坊が割れ鐘のような声を放った。
「何者だそいつは。」
「遼河という男の子です。
鬼を討つ力を持っています。
晴海様もご存じのはず・・・」
巴は静かに晴海和尚を見た。
「猫又を討ったのは知って居るが、鬼は・・・」
晴海は言葉を濁した。
青鬼を斬りました・・・京見廻組の数人が声を揃えた。
何処に居る・・・教貫は巴に声を掛けた。
「この場にはふさわしくないかと、外に・・・」
「連れて参れ。」
教貫の声に巴は紅蓮坊に目配せをした。




