襲撃(7)
× × × ×
「なんでここにばかり鬼が集まるんです。」
遼河が叫んだ。
その声に巴はかえでをちらっと見た。
かえでの力・・・それで遼河は理解した。
京見廻隊の面々はかえでが発するぼうっとした光りの中では奮戦を続けていた。
だが一歩そこを出ると鬼に叩き伏せられた。
辛うじてそれを覆せるのは大井彦正のみだった。
彦正は図に乗り、前に立った鬼に勝負を挑んだ。
その鬼の肌の色は青く、刺股を使った。
彦正の剣におされ青鬼は徐々に後ろに退いていった。
その様子に彦正はニヤリと笑い歩を進めた。
飯盛山では邪鬼に対してさえ苦労したのに、なぜ・・とさえ彦正は思わなかった。
「だめ。」
かえでが叫んだ。
それさえ彦正の耳には届かなかった。
青鬼の刺股が彦正を襲う。
彼は今までと同じ様にそれを弾こうとした。
だが刺股の動きはついさっきまでとは違っていた。
刺股が彦正の首を捕らえ、持ち上げた・・今度は青鬼が笑う番だった。
「たすけて、りょうが。」
かえでは遼河の手を握った。
遼河は木刀をかえでに渡し、腰の二本の剣を抜いた。
眼の先では青鬼が刺股を捻っている。
遼河は急いだ・・だが間に合わなかった。ぼきっと鈍い音がして彦正の首があり得ない角度に曲がった。
巴はかえでの眼を押さえ、遼河は歯を食いしばって走った。
目の前の青鬼はにやにやと笑い、もう息をすることもない彦正の身体を遼河に投げつけた。
遼河の姿はその陰にすっぽりと隠れた。
走ってきていた少年の姿が見えない・・青鬼は一瞬戸惑ったが、刺股を構えなおした。
だが遼河の姿は見えない。
遼河は地面を滑り、鬼の股越しにその背に回っていた。
鬼の腹から二本の剣が飛び出し、遼河はそれを左右に開いた。




