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襲撃(5)

    ×  ×  ×  ×


 室町殿の中門の前では村田善六を初めとする四人の男達がまだ鬼の相手をしていた。

 中に入れ、中で纏まって鬼の相手をしようぞ・・・晴海和尚の大声が門内から聞こえ、中門が開かれた。

 一番隊隊員と共に鬼達もそこに雪崩れ込んだ。

 門内では兵衛を中心に鬼との戦闘が行われていた。そこに一番隊と共に鬼が雪崩れ込んだため、対する鬼の隊は二つとなった。

 雉と木村一八は晴海と教貫を護り、兵衛と鬼木元治は次々と邪鬼を屠った。村田善六も邪鬼を相手にしない程の力を持ち、数匹の赤鬼にも対抗できた。だが、菊池主水の(きくちもんどのすけ)相良市之丞(さがらいちのじよう)の二人はそうはいかなかった。

 「お前達は邪鬼に集中しろ。

 雑魚は駆けつけてきた侍に任せろ。」

 善六が言う通り餓鬼や小鬼はそこらの侍にも斬れた。それでも傷を負う者も居たが・・・

 「赤鬼五匹に青鬼三匹・・先にそいつらを斃すのじゃ。」

 そう叫ぶ晴海の前にも金棒を手に赤鬼が迫る。

 その前に木村一八が立った。

 彼の剣先は相変わらず震えている。

 先に仕掛けたのは赤鬼だった。その金棒の一撃を一八は大きく飛んで躱した。

 キエー・・いつもの掛け声。

 赤鬼の両腕はその時にはもう斬り落とされていた。

 「雉、とどめは頼んだ。」

 一八はそう言葉を投げ捨て、次の敵に対した。

 青鬼を前に兵衛は刀を鞘に収め、半身(はんみ)に構え腰を低くした。右手は刀の(つか)に掛けすっと目を閉じた。

 青鬼の刺股(さすまた)がその姿に伸びる。

 兵衛はそれを気配で感じ、大きく踏み込むと同時に剣を抜いた・・後ろでは胴を大きく割られた青鬼が地に倒れていた。

 鬼木元治は一度に二匹の赤鬼を相手していた。

 その姿は気負うことはなく、いつものように剣をぶらりと下げていた。

 赤鬼二匹が同時に金棒を振るった。

 そして同時に悲鳴を上げた。

 元治は下からすくい上げた剣の血を地面に振り飛ばしていた。

 そこには二本の腕が落ちていた。

 「こっちの始末も頼む。」

 元治は次の敵に向かって静かに歩いて行った。

 村田善六は手に持つ剣を見て舌を鳴らした。既にその刃はぼろぼろにこぼれ、用をなさなくなっていた。

 それでも赤鬼に斬り付ける。

 しかし、赤鬼を傷つけることは出来ても、もうその剣に鬼を斃す力は残っていなかった。

 善六は意を決し、身体ごと赤鬼にぶつかっていった。

 剣は赤鬼の胸に突き刺さった。だが根元からぽっきりと折れた。

 善六はこの後の戦いが行えないことを悟り、観念した。

 そこに一本の剣が投げ渡された。

 誰だ・・・善六は後ろを振り向いた。

 そこには歯を見せて笑う一八の顔があった。

 菊池主水の介と相良市之丞は二人で一匹の赤鬼の相手をしていた。

 主水の介が相手を牽制し、市之丞がその隙を狙う。

 が二人の剣は赤鬼には通用しない。僅かな傷は与えても致命傷は与えられなかった。

 その赤鬼の首が飛んだ。

 倒れる赤鬼の後ろに居たのは国立清右衛門。彼は御所の奥からここに駆けつけていた。


 安藤宗重は相変わらず城ノ助と一緒に居た。

 彼の周りに鬼の姿は少なくなり、ほっと一息をついていた。

 城ノ介は側らの石に腰掛けていた。

 「ここらはほぼ片がついたが油断はするなよ。」

 城ノ介は小柄を投げた。

 振り向いた宗重の後ろで邪鬼が倒れた。

 「御所に行こう。

 手柄を確実なものにするためにな・・・」

 城ノ介は腰を据えていた石から立ち上がった。


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