襲撃(4)
× × × ×
室町殿の奥、主殿の前では近衛組の面々が戦っていた。
ここまで来た鬼の数は少なかった。が、それを率いるのは黒鬼。その鬼は僅かではあるが戦術に通じていた。
餓鬼や小鬼を囮に邪鬼を左右に配し、人の隙を窺った。
ここに居るのは斉藤蔵人長光を筆頭に、宝蔵院の坊胤嗣、長州の剣客桂金吾、美青年国立清右衛門の四人だった。
胤嗣は確実に一匹ずつの鬼を突き斃した。
それに比し、同じ槍の使い手長光は槍を回し、鬼共を叩き伏せ、地に伏した鬼に近衛組つきの侍が留めを刺していった。
中に彼等がとどめを刺せない鬼も居る。それは桂金吾が相手した。
「埒があきませんな。」
呟くように言い、国立清右衛門が前に出た。
「あの黒い鬼を斃しましょう。」
清右衛門は静かに言った。
三、四匹の餓鬼や小鬼はあっという間に清右衛門の前に倒れた。
その姿に邪鬼が鋭い爪を伸ばす。
それを躱すまでもなく清右衛門はその腕を斬り落とした。
「後は任せる。」
彼はちらっと桂金吾を見た。
余りの強さに鬼共は道を開いた。
目の前に居るのは黒鬼ただ一匹・・清右衛門は黒鬼に向け剣を構えた。
黒鬼の得物は斧。その分厚い刃を受ければ刀は折れる。
清右衛門はすっと右の肩口から後ろに剣をひいた。
黒鬼は気負って斧を振り回す。が、それを清右衛門は刀では受けず、足裁きだけでその全てを躱した。
業を煮やした黒鬼は清右衛門の脚を狙ってきた。それを待っていたのか、清右衛門の肩口の剣がおりからの夕陽を受けて一条の光りを放った。
黒鬼の首が地面に落ちた。それを見届けるまでもなく清右衛門は中門へ駆けた。
後は頼んだ・・との言葉を残して・・・




