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目覚まし時計君のお悩み~人知れず苦悩する目覚まし時計の物語~

作者: すーだ

私には趣味がある。2度寝である。何も「休日何をされていますか?」と聞かれて、妥当な言い訳が頭に浮かばなかったので、「昼寝をしています。」と答えるのとは訳が違う。


2度寝は私に悪魔的な安らぎを与える。30年前の羊水の記憶が蘇るようだ。時計を1度確認し、再び布団の中に潜り込むとき、それが人生で最も至福の瞬間なのだ。私はその魅惑の時間を楽しむために、目覚まし時計を本来の起床時間の30分前にセットしている程のマニアだ。


そんな価値ある体験を自らの意思で放棄しければいけない時がくる。そう、それは2度目の目覚まし時計が鳴った時である。「仕事に行け!!」目覚まし時計が耳障りな音を鳴らし立てる。「早く俺の電池代を稼ぐために仕事に行け!!」なんて憎たらしい機械なんだ。地面に叩き落としてやりたい気持ちが指数関数的に増幅するが、新しい目覚まし時計を買うために余計に働かないといけないことを考えると気持ちが萎える。


重い瞼を擦りながら、スーツを身にまとい、戦場へと向かう。何も仕事に行くのが楽しくて、2度寝を放棄しているのではない。会社に遅れると、後々面倒なことが起こるから仕方なくやっているんだ。


「はあ・・・。もっと寝られたらなあ。」


その願いが叶った。起きると昼が過ぎていた。念のため日付を確認するためにスマホを開くと、会社から何度も電話やメールが来ていた。


「どうしてもっと真剣に起こしてくれないだ。この役立たずが。」

腹いせに目覚まし時計を投げつける。電池が1つ飛び出した。


それからは記憶がなかった。気がつくと、私はベットの上でお人形さんのように座っていた。


目覚まし時計がカチカチと私の自由時間を減らしている。

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