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登場人物紹介(現時点)+おまけ




・小野大志


 年齢、十六歳

 誕生日、七月八日

 好きなもの、自分を刺激してくれる物

 嫌いなもの、機械作業

 趣味、ゲーム


 幼少期から雫に目を付けられ、十年以上を甘やかされて育ってきた。好奇心旺盛だが注意力散漫でよく怪我をする。

 一時は監禁ルートもあったが本人の天然が幸いして難を逃れた。

 よく見れば男前と呼ばれる顔をタザ眼鏡とボサボサな黒髪で隠しているせいで滅多に分からない。

 異性との恋人関係には憧れているが、恋人の概念の認識としては『よく遊ぶ女の子』だと思っているので付き合っても相手にとっては誠意を感じない最低男になる可能性大。


「何だ雫。え、結婚の仕方を知ってるか、だって?アレだろ、婚姻届を大使館ってところで貰って、親に判子貰って、コウノトリに提出すれば良いんだろ?」





・夜柳雫


 年齢、十六歳

 誕生日、九月十日

 好きなもの、小野大志

 嫌いなもの、虫、下品なヤツ、媚び諂う人間、大志に寄る女

 趣味、大志の世話と観察


 何事も上手く処理できる能力と美貌に恵まれた故に人から敬われるが、それが煩わしいと思っている。自分に媚び諂う事もなく、時折敵対すらしてきた大志に興味を持つ。

 最初は『変なヤツ』、小学校では『玩具』、中学生で『唯一の隣人』、中学時代後半で『私だけのもの』。

 大志を大切に思う反面で大志の体に傷を刻むことを厭わない、ちょっとオカシな子。

 大志の両親とは今後の為に打算的ではあるが良好な関係を築いている。


「大志、宿題終わるまでゲーム没収。…………教えてあげるから」







・永守梓


 年齢、十五歳

 誕生日、六月七日

 好きなもの、家族、動物、直向きな人

 嫌いなもの、暴力

 趣味、バスで遠出


 作中きっての善性少女。

 雫の行動についても『世話焼きで優しくてやっぱり憧れます先輩!』みたいな認識であり、大志は『よくわからない時があるけど基本的に真っ直ぐで可愛い!』という認識である。

 本人が努力家なので、どんな事でも好きな事を頑張っている人を応援したくなる。

 ダークホースといえばダークホースだが、意外と白。


「先輩、足下に気をつけて下さいね。ちょ、言ったそばから転ばないで!?」





・平沢憲武


 年齢、十六歳

 誕生日、五月六日

 好きなもの、美少女、ゲーム、砂糖

 嫌いなもの、辛い物、ジェットコースター


 男子校で大志が最初に仲良くなった男子。

 はっきりとわかるイケメンキャラだが、性格によって女子に敬遠されてしまう。大志よりは積極的に異性と関わろうとし、普段から合コンなどをセッティングしては友人たちのキューピッドになるというジレンマを抱える。

 雫以外では大志をよく助けている数少ない一人。

 他人事のように言っているが、実は夜柳雫のファンクラブの穏健派所属。たまに後方彼氏面がいたら粛清する過激派を密かに応援したり。


「節度を持て?そんな物はお袋のお腹の中に置いてきた」





・実河雲雀


 年齢、十六歳

 誕生日、八月九日

 好きなもの、ゲーム、映画、睡眠、友だち

 嫌いなもの、バイト、金欠、親

 趣味、オシャレ


 堂々と風紀委員と対決できる系のお洒落女子。

 クマが酷いので周囲から怖がられる事が多く、友だちもあまりいない上にバイト尽くしで交友関係がほとんど皆無。

 学力は平均だがスポーツなら雫と張り合える怪物。

 大志と雫という友人を得た事が最近で一番幸せなこと。


「アタシの好きなタイプ?……お金持ちでイケメンで世界一強い男。はい、アンタには無理ゲーだったね乙」





・大志の両親


 年齢、四十代後半

 誕生日、十二月十三日(同じ)

 好きなもの、息子の笑顔

 嫌いなもの、出張

 趣味、大志と遊ぶ


 両名が海外出張中の何してるかわからない両親。

 大志の事が好きすぎるあまり最初は近づいて来た雫に大人げない程の敵愾心を抱いていた。だが何度も大志の窮地を救う行動に感銘を受け、全面的に息子の面倒を任せられると信用している。

 大志とは毎晩メールのやり取りで心を潤しており、雫が送信してくる隠し撮りを毎回楽しみにしている。

 息子が生き甲斐の良い大人。


「か、母さん!大志が寝てる、寝てるぞ!」

「落ち着きなさいよお父さ大志ィィィィイイイ!!」






・雫の両親


 年齢、四十二歳(父)、四十五歳(母)

 誕生日、十月十日(父)、十二月十二日(母)

 好きなもの、愛娘

 嫌いなもの、小野大志

 趣味、娘の成長を見守ること


 生まれた時から娘を溺愛している。

 だからこそ雫の寵愛(?)を受ける大志には一際強い敵意を抱いている反面で、娘の難儀な性格というか歪んだ愛情を察しているので矛先となっている彼には同情もしている。


「あのクソガキと雫がまた遊んでいるらしい」

「忌々しい、あれが将来は雫と結婚するなんて…………!」







   ※   ※   ※   ※







・おまけ




 中学三年の秋。

 放課後の生徒会の仕事を終えて、一人で廊下を歩いている時だった。

 大志のいる教室に戻ろうとしたが、扉越しに聞こえる室内からの声に手を止める。


「夜柳ってマジで可愛いよな、デートしてぇ」


 またこれか。

 放課後に教室に居残って駄弁る男子の会話内容などこんな物がほとんどなのだろうが、自分が話題にされると不快に思えてしまう。

 彼らの脳内で自分がどのように扱われているかを想像したくないが、話を聞くと思い浮かぶ。


「なー、お家デートからの…………で行きたいよな」


「ぶははは、早すぎだって!」


 イライラする。

 今すぐにでも扉を開けて侮蔑の一言でも飛ばしてやろうか。

 相手にすること自体が馬鹿馬鹿しいのだが、こういう人間を直接相手にすると自制が利かなくなりそうになる。


「小野はどう思うんだよ?」


 その一言に私は固まる。

 まさか、あの会話の一員に大志がいるのか。

 まさか、彼もヤツらと同類なのか。


「おまえ幼馴染なんだろ?何かムフフで美味しい瞬間とか無いの?」


「ほら、部屋着とかで無防備なところからちょっと覗くアレとか!」


 駄目だ、今すぐにでも扉を蹴破りたい。

 でも、大志の返答が気になる。

 彼が私をどう思っているのか。


 んー、と聞き馴染んだ声が上がる。



「確かにそうかもな!この前も雫が俺の目の前で寝た時にさ、襟からタグが覗いてて見たら変なマーク書いてあって面白かったんだよ!」



 …………………………は?

 私と同じなのか、教室内もしんと静まる。

 いや、文脈から明らかに胸の谷間だとか肌だとかそういう回答を求めているのに予想外の返答だ。

 というか、は?

 無防備な私の姿よりも、服のタグが気になった?そんな事があるの?


「いや、小野………あのな?」


「あ、それとさ!寝言で晩飯の献立を考えててその後マジで内容通りのが出てきた時は爆笑したわ!」


 うん、大志はやっぱり大志(アホ)だ。

 呆れる反面、胸を撫で下ろす。


「ほら、あんな美人がいるのにいやらしい目で見るなって方がおかしいだろ。小野は夜柳の好きな所とかないのか?」


 大志に何て質問をしてんだよクズ。

 …………とはいえ、後学のために聞いておこう。



「雫の好きなところ?聞かれると無さすぎて困るけど、強いて挙げるなら手だな」


 手?

 思わず自分の手を見下ろす。

 まさか、手フェチなのか?…………というか、無さすぎて困るという返答に扉を殴りそうになった。


「風邪になった時に雫が俺の頭を撫でてくれたんだけど、すげー気持ちよくて眠れなくなるんだよな!」


 逆だろう。

 普通は気持ちよくて寝る筈なのに。

 でも、そうか…………撫でられるのが好き、か。


「ちぇっ、白けた。帰ろうぜ」


「小野って空気読めねえよなホント」


 悪態をついて退室しようと扉を開けた彼らと私は正対する。

 私を見るなり顔面蒼白になる彼らを視線で下がらせて大志の元へと向かう。

 彼は机の上にノートと参考書を開いて紙面を睨んでいた。


「大志ごめん、待った?」


「え、もう来たのか。あと少しで解けたのに」


「…………勉強してたの?」


「おう。合格したいから受験勉強頑張ろうと思ってさ」


 大志が無邪気な笑顔で私にノートを見せてくる。

 何度も同じページの問題を解き直し、満点になるまで繰り返している。何度も消しゴムで消した跡もあり、手の一部は黒鉛でかなり汚れていた。

 ああ…………頑張っていたのか。

 女子と会わせたく無いなんて下心で私が決めた高校に疑いもなく、入る為に努力しているのだ。


「私が決めた高校でしょ。何でそこまで頑張るの?」


「え?そりゃ勿論…………あれ、何で頑張ってるんだ俺?」


「ほんとにバカね」


「あ、思い出した!雫を不安にしない為だ!」


「…………私を?」


 不安にさせない?

 私が動機なのは嬉しいが、別に不合格になったからといって不安になどならない。

 高校に入る事がある程度は将来役立つからと進学させようとしたが、別に義務教育が終われば私だけしか手の出せない環境で管理する事もできる。



「雫が俺離れできるように頑張ってやらないとな!」



 うざい。

 超うざい。

 ハッキリ言ってうざいのだが、どこか胸が温かくなる。

 本当に自分の本音を偽らない人間だ。

 私を理由に信念を曲げたり、嘘をついたりするような奴らばかりの世界なのに。

 そんな大志だから、私は――。

 

「私は別に大志にべったりじゃないけど」


「そうか。じゃあ別に勉強頑張らなくていいや」


「それはダメ」


「何で?」


 大志に私以外は必要無いから、別に高校に進学しなくていい。

 でも。



「大志が頑張ったらご褒美あげる」



 私の為に頑張る大志を、もう少し見ていたい。

 そんな思いで、わがままを通す事にした。


「ご褒美?何かくれるのか?」


「大志の欲しい物」


「じゃあ、優しい幼馴染!」


「既にある物は無し」


「え?持ってないぞ、そんなの」


「……………」


 こいつ、やはり殺してやろうか。


「あ、じゃあ雫!合格したら撫でてくれ!」


 は?


「…………そん、なので良いの?」


 私は思わず声が震える。

 もっと凄い要求が飛んでくると思っていた。


「え、これもダメ?じゃあ…………高校でも勉強教えてくれよな!」


 ああ。

 本当に、もう。


「合格できたら考えるわ」


 好き。







 合格後。


「雫、志望校に合格してた!」


「あっそ」


「何と成績はトップだった、何故か!」


「…………」


「ん?どした?」


「大志が合格したらご褒美あげる、って話をしたでしょ?」


「いや、してないけど」


「…………………………………………………………」


「それより、これから春休みだからゲーム三昧だぜ!我慢してた分、溜めてた物を一気に解消しゲフェアッッッ!!!!!?」









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[一言] 更新楽しみにしてます
[良い点] 2人の両親ともに最高じゃないですか! [一言] 更新楽しみにしてます!
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