講習3
講習3
「それでは魔術講習を本当に始めたいと思います。魔術講習と言ってもする事は単純明快で私が皆様の手を握り魔力を流すただただそれだけです。」
「え?それだけ?」
「はい。それだけでございます。」(`・ω・´)
キリッ!とした顔ですみれは言い放つ。
受講者たちは最早すみれのキリッ!に対して突っ込むのをやめた。
「では誰から行いましょうか?」
にこりと微笑みながらすみれが受講者たちを見回す。
しかし名乗り出る者はいなかった。
「では誰もおりませんので右前にお座りの佐藤様から行いましょうか。では両手をお出ししてください。」
「お、おう。こうか?」
佐藤は恐る恐る両手を前にだす。その出された手をすみれは優しく包み込むと
「それでは魔力を流していきますね。」
「お、おう。」
すみれはリラックスして、逆に佐藤は緊張しながらてを握りあう。そしてすみれは佐藤に対して魔力を流しだす。
すると佐藤が
「う、うわぁぁあ!」
佐藤が急に叫びだす。
「うわぁぁぁあ!きもちわりぃぃぃ!腹ん中でなんか動いてるぞ!」
慌てた様子の佐藤と違い、落ち着いた様子ですみれが
「ご安心下さい、その気持ち悪く蠢いているのが佐藤様の魔力になります。」
「ほ、本当に大丈夫なんだろうな!」
「はい。問題ございません。逆にその感覚を忘れないで下さい。次からはその気持ちの悪いものをご自分で自在に動かせるようにならないといけません。これが魔術講習の第一段階となります。この段階で躓く人もいます。」
説明しながらもすみれは佐藤に対してどんどん魔力を流していく。時間にして2,3分くらいだろうか、すみれは佐藤の手を離すと佐藤はどっと疲れた様子で椅子に体を預ける様に座る。
当のすみれには疲れた様子もなく続けて佐藤の右隣座る受講者に佐藤と同じようにどんどん魔力を流していく。ただ違う点があり受講者によって魔力の感じ方が違うことだ。ある者は佐藤と同じようにへその下辺りに何かが蠢いている様な気持ちの悪い感覚であったり、ある者は自分の周りに暖かい膜に覆われている様な感覚であったり、ある者は血流を流れていく様な感覚であったりと千差万別な反応があり共通点は、すみれが魔力を流すと反応を示す点だ。
そうしている間に凌士たちの番になった。
凌士が少し震えながら両手を前に出すとすみれは凌士に
「心配しなくても大丈夫ですよ。痛い事はありません、少しビクッとする程度なのでご安心下さい。」
「はい。」
すみれは前の受講者たちと同じように凌士の手を握り魔力を流す。すると凌士は少しビクッと反応した。
「どうですか?少しビクッとするだけだったでしょ。」
「はい。魔力が流れ込んできた時少しビックリしました。」
「要は慣れですね。そのビックリした感覚を忘れずに自分で自在に動かせる様になることが第一段階です。特に瞑想や禅などを修練に入れて取り組むといいと思いますよ。」
「はい。わかりました。」
すみれは凌士にも雑談をしつつ2,3分魔力を流した。
その後、最後にミコにもすみれは雑談をしつつも魔力を流す。
ミコが魔力注入を受けている間に凌士は自分の中の魔力と向き合っていた。この時の凌士は知らなかったが凌士の魔力タイプはへその下辺りにある佐藤と同じ所謂『丹田型』(チャクラ型)と呼ばれる身体強化型であった。
余談だがミコは一般的に『血管型』(経絡型)と呼ばれている万能型タイプだった。