講習1
講習1
週末、凌士とミコはギルドに来ていた。魔術講習を受ける為に。
以外にもギルド内は閑散としていた。前時代の名残りからか土日に休みを取る冒険者が多い。凌士とミコも土日に休むことが多い。
そのため講習や訓練日、研修等は週末に行われることが多い。なので今日ギルドにいる人たちの大半は講習や訓練の為にギルドに来ている。だからだろうか人が少なくとも受付には列が出来ていた。
凌士とミコも列の最後尾に並ぶ。4、5分位だろうか並んでいると凌士たちの番になる。
「おはようございます。ご用件をお伺いいたします。」
「おはようございます。魔術講習の受付をお願いします。」
「では冒険者証の提示をお願いします。」
凌士とミコは冒険者証を受付嬢に差し出す。すると受付嬢は差し出された冒険者証を水晶玉の乗った機械(魔道具)に差し込み手続きを行う。
「佐々木凌士様、立石ミコ様、初回魔術講習でよろしかったでしょうか?」
「はい。初回魔術講習で間違いないです。」
受付嬢は二人に冒険者証を返しながら
「佐々木凌士様、立石ミコ様、お手数ですが講習終了後、一度受付にお寄りくださいませ。」
「え?俺たち何かしましたか?」
「いえ、そう言うわけではございません。お二人の冒険者ランクアップの件でございます。」
「へ?」
「お二人の貢献度の高さ、クエスト成功率高さ及び訓練の練度からお二人をFランクからDランクへのランクアップが決定しました。」
「へ?EランクじゃなくてDランクなんですか?いいんですか?聞き間違いとかではなく。」
「はい。聞き間違いではございません。飛び級のランクアップはたまにございまして。今回の場合Dランクへのランクアップには狩猟した獲物の解体技術が必須事項となっております。お二人は進んで解体講習を受けておられましたので。」
「え?そんなことでDランクになれるのですか?」
「ええ、そうですね生き物を殺したり、特にその殺した生き物を解体することへの忌避感が強いのでEランク止まりの方たちが多いですね。」
「へぇ、やっぱり解体が苦手な人多いんだ。」
「わたしも最初はきつっかたな~。特に臭いがダメで慣れるまでよく吐いてたわ。」
「一応ギルドでは解体の委託も行っておりますが、やはり生き物を殺す事に忌避感を感じる方が多いですね。ですので生き物を殺す事が一つのターニングポイントになります。それではこちらの冒険者証をお返し致します。魔術講習は第3講堂で行われます。」
「はい、わかりました。ありがとうございました。」
二人は受付嬢にお礼を言うと第3講堂に向かう。
講堂内には20人程の男女が席にすわって談笑していた。大体10代から30代くらいと割と幅広い年代の人たちが初回講習を受けるようだった。凌士たちも空いている席に座って待つことにした。
待つこと十数分入口から講師役の女性が3人講堂に入って来た。
「お待たせしました。これより初回魔術講習を始めたいとおもいます。講師を務めさせていただきます。私は桜後ろの二人は紅葉、すみれと申します。本日の講師をさせていただきます。よろしくお願いいたします。」と3人は深々と頭を下げた。
それから参加者たちの自己紹介を一通り終え、3班に分かれて講習が始まる。
「それではこの班を担当させて頂きます、すみれと言います。よろしくお願いします。」
身長160cm位の薄紫色の髪が特徴的な女性が挨拶をする。
「よろしくお願いします。」
受講者もすみれに挨拶を返す。
「それでは魔術講習を始めさせていただきます。まず魔術というものは体内の魔素又は魔力と呼ばれているものを魔術又は魔法というものに変換することにより外部に出力する事ができます。魔術を行使することで単純に体力が向上したり、火球や水球の攻撃魔術から回復の様な補助魔術まで幅広く使用することが出来ます。」
「それは誰でも使えるものなんですか?」
「はい、理論上は誰でも使用は可能です。ですが人それぞれ魔力の保有量や使い方によっては個人差があります。例えば魔力が100ある人でも魔術が使えない人もいれば、魔力が10しかない人の方が上手く魔術を使える場合も多々あります。なので魔力の大小よりも上手く魔術を使えるように努力をした方が最初はいいかもしれません。それに魔力の保有量が少なくとも魔術を使用することにより魔力の保有量が増加する傾向にあります。ご安心下さい。」
「ギルドは魔力の保有量がわかるんですか?」
「はい、わかります。ギルドには最低でも1つ以上の魔力測定器があります。ギルドに所属していることの特典の様なものですね」
「特典?」
「そうですね、ギルドに所属するにあったていくつかの特典の様なものが存在します。例えば冒険者証ですね。冒険者証にはいくつもの機能がございます。大きく分けて4つございます。1つ目が冒険者ランク証。2つ目がレベルの表示機能。3つ目がモンスター等の討伐数表示機能。4つ目がキャッシュカード機能になります。」