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クエスト4

クエスト4


 野営の見張りを始めて4時間丑三つ時の深夜2時。第6小隊隊長菅原と凌士含む6人が見張りについていた。男6人が揃えば下世話な話に花が咲くものだ。しかし話が盛り上がってくると自ずと声が大きくなる。すると眠っているメンバーからクレームが入る。特に女性陣から。男たちはばつが悪そうにしながらも小声で話し続けた。無言で2時間は長すぎるし眠気もやってくる。

「話は変わるがお前たちは『魔術講習』は受けるのか?」と菅原隊長が問いかける。


 「菅原さんはそんな与太話信じているんですか?」

 「そうっすよ!『講習』の時にもそんな話してなかったっすよ!」

 「あぁ!そうかお前たちは知らないのか。Dランク以上か魔術特性がないと呼ばれないレア『講習会』」

 「そう言う菅原さんは受けたんですか?」

 「おお受けたぞ!先週末にパーティーメンバー全員で」

 「で、どうでした?」

 「うーん。微妙だったぞ。ダンジョンの件がなければ、怪しい宗教の集会だぞあれは」

 「で?どんなことをしていたんですか?」

 「あー、チャクラがどうこうとか、経絡がどうこうとか、血流がどうのとか、内なるパワーを感じ取れとかわけが分からん講習会だったぞ」

 「大丈夫なんですか?この(ギルド)

 

 と一抹の不安が見張り役の中で渦巻いたとき、菅原はその中に爆弾を投げ入れた。


 「あー、それなんだが。使えるんだよ。」

 「何がですか?」

 「魔法が」

 「はあ?」


 何言ってんだこのおっさんはという胡乱な目で見ていた、そこにはいた全員が。


 「なんだよその目は。本当に魔法あったんだよ。俺も自分の目で見るまでは信じられなっかたよ。でもうちの花咲と橘が魔法を使えて篠原も魔法の素質があるらしい」

 「え?マジですか?」

 「マジもマジ。ただ二人が使えるのは小さな(リトルファイア)だけだけどな」

 「その話が本当なら凄いですけど」

 「その『講習会』今週末、俺たち参加するんですけど」

 「「「え?」」」

 「いや、ミコ。えーと幼馴染の立石ミコなんですけど、この間の『ギルドカード(冒険者証)』の更新した時に魔術特性があったみたいで、『講習会』の参加を進められて、でも一人だと不安だからって俺も一緒に受けることになりまして」

 「リア充め!」

 「いや、俺たちそんなんじゃないですよ。」

 「きぇぇぇぇぇぇ!このリア充め~~!」っと凌士に飛び掛かろうとした瞬間彼の顔にゴスッと水筒の底が突き刺ささり撃墜される。

 「っるさいわよ!男共!」っと水筒で大の大人を撃墜した。

 

 それを目撃した男共は戦慄した。水筒に撃墜された者が後方に2回転したのだ。

 それから彼らは撃墜された者を治療した後は交代までお通夜のように静かであった。

 その後の夜警は何事もなかった。



 朝は日の出とともに起き、軽めの朝食をとり目的の5階層へと何事もなく進んでいく。

 

 5階層はそれまでの階層とは違い5階層全体が広大な畑になっており、一年中決まった作物が取れる。ここ7号ダンジョンは『ジャガイモ』や『人参』等の根菜類が取れる、しかもモンスターがリポップしない『安全地帯(セーフゾーン)』でもある。


 「よーし、1時間休憩の後から『収穫』開始するからなー」

 「「「了解でーす」」」



1時間後

 「全員集合!今から収穫の道具類を配るぞー!」

 「「「はーい」」」


 配られたのは『籠』『スコップ』『軍手』などである。ここからは手分けして収穫を行う。

 1班6人の5組がそれぞれに担当する食糧の確保に動く。各班には安全のためにCランク冒険者が一人つくことになっている。集めた食糧は『折り畳み式のリアカー』で馬車の荷車に往復で運ぶ。荷馬車も特殊な木材を加工して作られた『箱型』で軽量なうえに大型なので大量に荷物を運ぶことが出来る。


 「はぁはぁ、しんどーい!」

 「腰が痛い、腰がぁぁぁ」

 「きゃぁぁぁぁ、むしがぁぁぁぁ」

 「こんなの、冒険者の仕事じゃね~~!」


 などなど2時間もすると人間飽きてくるものだ。特に仕事の場合は。それに容赦なく照り付ける疑似太陽光が体力を削っていく。なので2時間に1度、30分程度の休憩を挟みながら収穫は進んでいく。当然1日では終わらない。勿論セーフゾーンでも野営時は見張り役をたてる。訓練の一環として。


 次の日昼までで収穫作業が終わり帰路につく。帰りも1度野営を挟むが、ここでも見張り役はしっかりとたてる。帰り道方が油断を招き危険だからだ。しかし今回は杞憂に終わる。

今回の3泊4日の『収穫』の冒険は一人の犠牲(笑)以外に被害がなく終わった。後はギルドに戻り荷物の査定と報酬の受け取りだけである。報酬に関してはクエスト報酬と歩合のプラスアルファで支払われる。今回凌士たちに支払われる報酬は約2万円程度で銀貨2枚程度である。Cランク冒険者パーティーに対しては引率役としての報酬も上乗せされる。凌士たち低ランク冒険者たちは中休みをとってから再度ダンジョンアッタクをする。低ランク冒険者の中には一度のダンジョンアタックで辞めてしまう人も多い。そして、管理外ダンジョンへアタックした多くの冒険者が帰って来なかった。しかし、多く冒険者が命を落としている中で結果を残し成功している冒険者も多い。その場合ギルドにおいては昇級試験としてのクエストを行うことで例外的にランクを上げることが出来る。凌士やミコの様な低ランク冒険者でも申請さえすれば自己責任で昇級試験を受けることが出来るが多くの場合Dランク試験でつまずく。

 Dランク冒険者は主に『狩猟』を生業としていて動物系モンスターの殺生に始まりその解体し持ち帰るまでが試験であり、生き物を殺した事のない人からするとかなり難易度が高いしかも解体までがワンセットで、殺せても解体できない人が多かった。


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