クエスト3
クエスト3
ダンジョンの入り口には様々な形態があり、扉型、洞窟型、洞穴型に空間に穴が開いているもの等がある。7号ダンジョンは小山に空いた縦3m、横5mの洞穴型だ。そのダンジョンの入口の前にはゲートがありそれが『管理内ダンジョン』であるあかしだ。ゲートをくぐるにはギルドで発行している『冒険者証』が必要であり、持っていないと目に見えない壁に入ることを阻まれる。『冒険者証』は特殊な素材でできており、様々な機能を内包している。30人と2頭はゲートをくぐる。勿論馬たちにも『冒険者証』は発行されている。何気馬たちは高レベルであったりする。
トンネルを抜けると雪国だった。・・・・ゲートをくぐるとそこは雪国ではなく、大平原だった。上を見れば青空が広がり、周りを見れば地平線が見えないほどに広い。所謂『フィールド』ダンジョンだ。ここから『収穫』場所の3階層まで行かなければいけない。それには下層へ続いている場所を探さなければいけない。のだがここ『管理内ダンジョン』は違う、10階層までの全てマッピングが済んでいる。勿論モンスターマッピングも済んでいる。なのでよほどの事がない限り事故など起きることはない。
「うおお!すげぇ、マジでダンジョンじゃん!」
「うわぁ!すごく広い」
「凄くきれいな景色」
「みんな始めての時の反応は一緒だな。俺たちの時もそうだったから感慨深いよなぁ」
「そうだよなぁ。『終焉』の前は『ザ・ダンジョン』って感じで『フィールドダンジョン』は少なかったからな」
「そうよね、お花摘みとか大変だったわ。本当に」
「お花摘み?」
Cランク冒険者玉平舞にキッと睨まれる同じパーティーメンバーの諏訪谷慎吾はいつも一言多い。犬猿の仲というやつだ。
「まあまあ、諏訪谷くん女性には男性にはわからない苦労があるんですよ」
「そ~ですよ~、たいへん~なんですよ~。だから~もてないんですよ~」
「ぐぬぬぬぬ。」
「もういいか、そろそろ出発したいんだが」
「「「問題ないで~す」」」
「ぐぬぬぬ」
約一名を除き不安と期待を心にダンジョンの奥へと進んでいく。
しばらくは緊張のためか黙ってもくもくと歩いていたが、モンスターどころか人っ子一人いないのどかな光景に緊張がほぐれていった。最早ピクニック気分である。もしモンスターがいても見晴らしのいい平原なので何かあれば直ぐにでも対処出来ることも緊張がほぐれた要因であった。休憩を挟みながら歩くこと3時間やっと一つ目の下層へと下りる場所についた。いくつかある下層へ下りる場所の一つだ。この場所は洞穴の中に下り坂がある。そこを30人と2頭が下っていく。
下った先には一階層にはなかった林が存在していた。林の中には角の生えたウサギがちらほらぴょこんぴょこんと飛び跳ねているのが見える。一見すると、のどかな風景に見えるがこの風景には罠があり角の生えたウサギ即ち『ホーンラビット』は普通のウサギとは違い獰猛で自分より大きな生き物でさえその角で襲い掛かってくる。その愛くるしいぬいぐるみの様な姿からは想像できない故に『初心者殺し』『初見殺し』などと呼ばれている。特に若い女性冒険者が被害にあっている。他にも足の大きな『フットラビット』や体の大きな『ビックラビット』等の見た目の愛らしいモンスターの被害にあうことが多い。何故なら不用意に近付き触れようとしたり写真を撮ろうとした瞬間に『ホーンラビット』ならその鋭い角で、『フットラビット』ならキリンの並の脚力で致命傷を与えられる。いくら注意喚起をしても被害が減らない理由である。
「わぁ!可愛いなにあれ」
「本当だぁ、可愛いい、持って帰りたい」
「写真撮りたい。鼻がピスピス、かわいい」
「おい!あんまり近づくなよ、刺されても知らんぞ」
「えー、あんなに可愛いのにビビリすぎじゃない?」
「そう言って近付いたバカが毎回被害にあっているんだよなあ」
「この間なんか子供の『フットラビット』抱き上げた女なんて悲惨だったぜ!抱き上げた瞬間に顔蹴られて、首は折れるわ、顔は潰れるわでクエストどころじゃなかったな」
「あーあれはひどかったな。死体が子供放さなくて子供が頭蹴りまっくて顔面ぐしゃぐしゃで死体の回収も一苦労だったわ。その後もいろいろと大変だったし、踏んだり蹴ったりだったよ。だから可愛いってだけで不用意に近づくなよ。向こうはこっちから近づかなければ何もしてこないから絶対に近づくなよ!フリじゃないからな!」
「なんだったら、『ホーンラビット早贄事件』の話もしてやろうか?」
などと比較的和やかな?雰囲気でパーティーはダンジョンを進んでいく。途中昼休憩などを挟みつつ順調に下層へと進んでいく。3階層へと。
フィールド系ダンジョンには昼夜が存在するものしないものがある。例えば昼しか存在しない又はその逆に夜しか存在しないもの、階層によってもその有無は変わる。上の階層が昼でも下った先の階層は夜ということも多々ある。7号ダンジョンは外と昼夜が同じということも初心者向けダンジョンの由来でもある。
3階層へと下りると夕陽が沈むところであった。
「おーい、この辺で野営するぞー!」
「はーい」
「了解でーす」
各々返事をしながら野営準備を始める。Cランク冒険者達は早々に野営準備を終わらせ、馬たちの世話をし始める。荷馬車から水樽と飼葉を下し馬たちにあたえる。そこで問題が発生する。
「えー!テントないんですか?」
「え?ないよ。危ないし、訓練にならないじゃん。そうゆう意味でも荷馬車の荷台も使わないよ。悪天候とかならいざ知らず」
「あれ?講習で言ってなかった?特に女の子は逃げ場がなくなるでしょ。モンスターや人からも。男はいつだって狼なのよ」
「えー!『収穫クエ』の時もなんですか?」
「特にね!新人狙いもいるから『収穫クエ』は大人数なんだよ。何かあった時のために。だから『新人』の『収穫クエ』は強制なんだよ」
『収穫クエスト』にはまるで裏ハ○ター試験の様な側面があり、Cランク以上の冒険者が必ず引率役としてクエストに参加する。参加時にはギルド職員からこの裏ハ○ター試験の本当の目的を教えられる。参加出来る冒険者がいない場合はギルド職員が代わりに引率役としてクエストに参加する。
野営に関しては引率役と新人が組んで2時間交代でローテーションで行た。
文章力が欲しい