朝
朝
「りょおぉぉぉじぃぃぃ!あさよぉ!起きなさい!」
「ふぁぁぁ。ねみぃ。」
佐々木凌士の朝は早い。高校を中退してから約半年、冒険者になってから3か月。母親と姉と妹の四人家族、父親はいない。いないのは離婚したのではなく戦死したからだ。父は『終わり』の最前線にいたからだ。第一城壁の崩壊に巻き込まれたらしい。父と一緒に戦っていた同僚の人が崩落に巻き込まれたのを見たらしい。遺体は見つからなかった。あれから3年俺も今年で17歳になった。高校を中退して冒険者になると言った時はものすごく揉めたし、母と妹に泣かれた。姉にはシバかれた。ボコボコに。それでも頑張って説得した。住む場所には困らないのは父が戦ってくれたから。戦死者の遺族には国から弔慰金が出た。それでも家族4人が食べていくにわ厳しかった。就職するにも都市内の倍率が高く、冒険者の数が足りていないとなるとおのずと選択しが決まる。
冒険者にも様々な種類がある。
比較的安全で安定したG級~E級の収穫、採集。
安全なD級の採集、狩り
一人前のC級、管理ダンジョン
一流のB級、管理外ダンジョン
A級、管理外ダンジョン、旅団
簡単に分けると5種類に分けられる。
俺はFランクだ。まだ見習いだな。
「りょおぉぉぉじぃぃぃ!」
「分かったよ、起きたよ。母さん」
「おはよう、お寝坊さん」
「ふわぁぁぁ、お寝坊ってまだ朝の5時前だよ。母さん」
「あんたミコちゃんとの待ち合わせは4時半のはずでしょ。」
「あっ!忘れた!」
「ふぉふぁよ~。もぐもぐ。やっふぁいふぁすれふぇた。もぐもぐ」
「どうして、ひとんちで飯食ってんの?」「
「あんたが起きてこないからミコちゃんがきてくれたんでしょ!朝ごはんまだって言うからあんたが起きてくるまで食べてもらってたのよ。あんたも早く顔洗ってらっしゃい!」
「あ~~い」
立石ミコは所謂お隣さんだ。このギルド都市に来る前からのお隣さんだ。そうあの伝説とまで言われる女の子の幼馴染だ。付き合ってはいない。じゃあ、なぜこんな朝早くに家に居るかというと、彼女も見習い冒険者だ。俺が高校を中退する時に一緒にやめた。付き合っているわけではない。大切なことなので二回言っておく。チームではあるけど。
顔を洗い、朝ご飯を食べ、出かける支度をしたらギルドに出発だ。ギルドまでは歩きで約1時間ほどかかる。だから乗合馬車で向かう。ひと昔前はバスが主流だったが世界が変わってからは輸入に頼っていた石油等の燃料や食料品関係が手に入りづらくなったからだ。それに代わるのが馬等の動物や魔石を使った魔道具類だ。一部発電所や浄水システムが作動している。
乗合馬車に揺られること30分やっとギルドついた。ギルドは第三城壁内にあるとてつもなく頑丈そうな巨大な三階建ての建物で一階が様々な受付兼酒場で二階が会議室や保管庫などがあり、三階はギルドマスター室及びギルド職員の仮眠室や更衣室や休憩室がある。
「あ~、やっと着いた。うわっ!もう混み始めてる。」
「まあ、誰かさんのおかげでね。」
「悪かったよ。でも集合時間にはまだ早いからいいじゃん。」
「5分前行動は当たり前だよ。何回言えばわかるのよ、もう学生じゃないのよ。それにもう来てる人もいるでしょ。」
そう冒険者朝早い。クエストの取り合いに始まり、酒場の席の取り合い、馬車を使う場合は良い馬の取り合い等ギルドの朝は騒がしい。特に低ランク冒険者たちは『パーティー』で動くため馬車を数台使う事が多い。当然馬の取り合いも激しい、時には殴り合いにも発展する。今日も今日とて酒場では朝っぱらから『パーティー』リーダーたちが騒がしく馬と荷車の取り合いをしていた。